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2011-05-11 00:00
ビンラーディンは「容疑者」なのか?
花岡 信昭
拓殖大学大学院教授
米軍特殊部隊によって殺害されたウサマ・ビンラーディンについて、読売新聞を除くメディアは「容疑者」という呼称をつけている。事件の被疑者につけられる表現と同じだ。ビンラーディンは容疑者なのか。米軍の武力行使は「9・11」を受けた国連決議に基づくものだ。いくつかの決議を受けて、まずアフガニスタンのタリバン政権を放逐、次いでイラクのサダム・フセインを成敗した。議論があることは承知しているが、米側は一連の武力行使を国連決議に基づく当然の権利としている。日本も米側の行動を支持し、インド洋での給油支援やイラクへの自衛隊派遣など、それなりの一体的行動を取った。
民主党政権になって、給油支援が停止されるなど、ニュアンスは変わったものの、日米同盟の基軸に変化はない(と民主党は言っている)。ビンラーディン殺害は、米軍の戦闘行動の主たる目標を成就したものだ。「事件の犯人を追跡して、発見した」というのとは、事情が違う、いってみれば、「敵の最高司令官」を追い詰め、そのクビを取ったのである。これが戦争というものだ。誤解のないようにしておかなくてはならないが、アメリカは「9・11」という同時テロ「事件」の捜査を行っていたわけではない。アルカイダを率いるビンラーディンが最高首謀者であるとして、その行方を追っていたのであって、これは戦闘行為である。
だから、「なぜ逮捕しなかったのか」というのは、ちょっと筋が違う。それにしても、米特殊部隊のレベルはすさまじいばかりだ。ヘリ1機が故障、ブラックフォーク・ダウンのようなことになったらしいが、米側に死者は出ていないようだ。ヘリから特殊部隊が降下して豪邸に突入、ビンラーディンを発見し、銃撃してきたため射殺したという。戦闘行為である以上、正当防衛、緊急避難の原則にあてはまらなくてもかまわないのだが、米側のそういう説明でいいのではないか。ペルーの日本大使館占拠事件では、当時のフジモリ大統領の命令で特殊部隊が地下道を掘って突入、テロ集団を全員殺害した。
なぜ、生きて逮捕される者が皆無だったのか。これは、奪還テロをふせぐためともいわれた。このケースもこれだけ甚大なテロに対しては妥当な決着といえた。ビンラーディンの遺体はDNA確認後、水葬されたという。本当のところは分からないが、これもこれでいい。イスラムの習慣にしたがって土葬すれば、遺体奪還テロが起きてしまう。「9・11」以後、アメリカは戦時下にあるのだという厳粛な事実を直視しないと、一連の事態を理解できないことになる。
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