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2011-04-19 00:00
(連載)中国との関係を再考せよ(2)
河村 洋
NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
さらに「中国の経済成長は我々の経済に寄与しており、その市場機会を逃してはならない」という経済の専門家や財界人の間に広まる見解に、疑問を差し挟む必要がある。英エコノミスト誌のFree Exchangeというブログでは、米中貿易の利益と損失を比較衡量している。アダム・スミスとデービッド・リカードが主張するように、中国との自由貿易はアメリカに利益をもたらす。しかし、これは雇用喪失と相殺される。このブログで述べられているように、アメリカの福祉制度もグローバルな経済競争に適応する必要があるかも知れない。しかし、低賃金で働く膨大な中国の労働力が日米欧の労働者にとって重大な脅威になることは否定できない、と私は考えている。
最後に、3・11地震とそれに続く福島原発事故によって、とても日本が米中の力のバランスの間を泳ぎまわれるような立場にはないことが明白になった。鳩山由紀夫氏が構想した「日米中正三角形」などは全くの間違いであることが白日の下にさらされ、「トモダチ作戦」によって日本国民は日米同盟の強化こそが重要かつ死命を制する国益であると理解するようになった。さらに原発事故ではアメリカとフランスがこの危機への対処に技術支援を提供し、ロシアがチェルノブイリの経験に基づいて原子力エネルギー利用の管理体制の構築を提案した。中国が何をしたと言うのだろうか?知識や技術の分野で、中国はとても欧米やロシアに敵わないのだ。日本国民はそのことをしっかりと銘記すべきである。
中国の真の実力と我々の国益に占める重要性を評価する際に、従来の視点を再考すべきである。スーザン・ストレンジの理論を適用すれば、中国の力は関係的であっても、構造的ではない。中国はハード・パワーを見せつけて自国の意志を他国に押し付けることはできるが、国際規範の設定や世界規模の課題に解決策を示すことはできない。我々は目先の経済利益のためにレッド・チャイナに叩頭するような真似は決してすべきではない。財界人と「実務本位」の政治家達は、このことを銘記すべきである。中国は必ずしも我々の経済を活性化させる救世主ではない。(おわり)
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