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2011-04-14 00:00
民主化と戦争、それは理想と現実でもある
川上 高司
拓殖大学教授
リビアへの空爆が始まって中東情勢は大きく変化しつつある。それは単なる民主化運動ではなく、国際社会を巻き込んだ紛争へと変貌しつつある。そしてかつてアメリカをイラク戦争へと引きずり込んだネオコンが再び勢いを取り戻しつつある。
チュニジアに始まった中東民主化の風は、シリアではなかなか吹かなかった。しかし、リビア情勢が長引くに伴い、シリアでも民主化デモが頻発し、政権を脅かすまでになっている。そこに「今こそシリアの反体制派を支援し、現政権を打倒するべきである」という強硬論が浮上し、勢いを増している。その論壇を張っているのが、エリオット・エイブラムスを筆頭とするネオコンたちだ。彼らがブッシュ政権時代にイラク戦争を主張し、アメリカの外交政策を戦争へと引っ張っていったことは記憶に新しい。
彼らにとって、シリア攻撃はまさに願ってもないことだ。シリアは、イランとのつながりが強いとされ、シーア派過激派組織ヒズボラやハマスを支援していると言われている。ヒズボラやハマスはイスラエルにとってはまさに敵であるから、その支援者であるシリアをたたくことは、敵の力をそぐことになる。以前、イスラエルはシリア国内の核関連施設と疑われる施設を空爆したこともある。今回の反政府勢力への支援は、シリアをたたく格好の機会なのだ。シリアをたたけば、その支援国であるイランのこの地域での影響力が弱まる、というイスラエルにとっての国益も達成できる。イスラエルを支持するネオコンが勢いづくのも当然なのである。
ネオコンたちの影響力がどれほどオバマ政権に通じるかは未知数であるが、彼らの強硬論におされて前政権と同じ道を辿る可能性はゼロではない。リビアでは反政府勢力を支援するのに、なぜシリアでは見捨てるのか。この論点をかわすことは、難しい。一方で、現場の事情は厳しい。軍はイラクとアフガニスタンの戦争で手一杯で、リビア攻撃にも乗り気でないという。ゲイツ長官は、大胆な予算カットをしたばかりで、予算上も新たな戦争は厳しい状況にある。さらには大統領選挙を来年に控えて、世論の動向も気になり始める。民主化と戦争、それは理想と現実でもある。このバランスをどうとるのか、オバマ大統領の真価が問われている。
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