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2011-04-11 00:00
政治家は「庶民感情代弁」だけでよいのか
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
震災の事後処理を巡っては、閣僚からさまざまな発言が飛び出している。最近の発言からいくつかを拾って、その評価を試みてみよう。経済産業大臣が漁業被害に対して、被害額確定前に取りあえず緊急の補償をすることを東電に命じた。別にクニが財源を手当てする訳ではなく、それは東電持ちなのにである。さて評価だが、「さすがは海江田さん」と言っておこう。機敏にお役所仕事の穴を埋める応用動作が鮮やかだ。しかし、世間ではこういうのを「人の褌で相撲を取る」という。全く常人の思いつかない視点からの発言で敬服に値する。
国土交通大臣が仮設住宅について「建設資材不足によって住宅建設に支障が出るというようなことは聞きたくない」と発言した。だからといって、別に資材不足解消の具体策を提示した訳ではない。評価すれば、痒いところに手が届く「思いやり」で、庶民の心をとらえているが、格好を付ける「リップサービス」の典型とも言える。
さて、読者の評価はどうであろうか。両大臣の発言とも、政治家の機能は「庶民感情」の代弁だと誤解しているとしか思われない発言だが、「国民は自らの水準以上の政治家を持つことは出来ない」という箴言を思い出す。自らの信条に自信がないから、意見を述べるときには必ず「ある意味では」と付け加えないと気が済まない政治家と共に、われわれの政治的水準を目の当たりにするのは、必ずしも心地よいものではない。ただし、ここでは一般論をしているのではなく、緊急事態、つまり事態解決に時間的余裕がないまったなしの状況における政治家の資質を問題にしている。
既にそこに存在している意志決定権を持った人々。国民はそれを受け入れるしかない。次の選挙で「ノー」というまで待っている訳にはゆかないのだ。本来最も鋭い批判者で、国民の声の代弁者であるべきメディアが、情けない状況にあるとすれば、代議士の選挙区後援会、地域のNPO、ネット等のミニコミ、所属するグループの集まり等、あらゆるチャンネルを通じて、声を挙げるしかあるまい。「民主主義の危機だ」などと大げさなことを言っているのではない。義援金を赤十字に託して「わがことなれり」としているだけでは駄目だと言っているのである。
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