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2011-04-05 00:00
与野党は小異を捨てて、「時限大連立」を目指せ!
杉浦 正章
政治評論家
鼎(かなえ)の沸くがごとく大連立への論議が沸騰し始めた。どこへ収れんするかと言えば、曲折はあろうが、まず7割位の確率で実現へと向かうと思う。「時限救国内閣」であろう。国民世論は未曾有の大災害による国家的危機を前に、与野党の枠を越えた「東日本復興」策を求めている。自民党もこれを無視できないし、公明党も、自民党が応じるならば乗らざるを得まい。首班も当面は菅直人で行くしかあるまい。実現した場合、落ちこぼれがなければ、衆院で92・7%、参院で84・2%を占める「復興翼賛政権」となろうが、期間は復興にめどが立つまでの長くて1年余りにとどまろう。大連立論議が動き始めたのは、菅と幹事長・岡田克也の巧妙な仕掛けがある。そこには総額20数兆円も動くことになる復興予算を前に、自民党が拱手傍観出来るわけがないという“読み”がある。自民党内には政権党であった遺伝子が“うずうず”しており、政治家としての活躍の場を見逃したくないという意識が濃厚に存在する。このままでは単に地元の陳情を民主党政権に取り次ぐ「陳情取り次ぎ屋」に終わってしまう、という焦燥感もある。そこを狙って菅が「副総理兼復興担当相」を谷垣に持ちかけ、いったん拒否されたものの水面下で働きかけを続けているだろう。
その証拠に、4日に国会対策委員長・安住淳が与野党国対委員長会談で野党に閣僚を17人から20人に3人増員する内閣法改正を提案したにもかかわらず、自公両党に拒絶反応はなく、持ち帰っている。そこからも根回しの存在が分かる。菅は先に来週月曜の3月11日までに「復興構想会議」を立ち上げると表明したが、これも自民党の決断を促す意味合いがあろう。自民党が参画する場合には復興会議と閣僚ポストは密接不可分のものであるからだ。谷垣は今週中に大連立で見解を表明するようだが、スケジュール的に連動が見られるといってよい。その谷垣は4日の元首相・中曽根康弘との会談で、中曽根が大連立是認を前提に「公明党との関係を重んじるべきだ。災害立法が終わったら、仕事は終わったと考えてよい。菅首相と進めていく形を取った方がいい」述べたのに、「同感だ」と応じた。そのあとで記者団に「私は白紙。上下左右前後、360度見渡して、これから決める立場だ」と述べているが、前向きでなければ「同感だ」などと述べるわけがない。また超重要なはかりごとであるはずの会談をテレビカメラを入れてやったのはなぜか。大連立ムードを盛り上げるために他ならない。
しかし、自民党内には慎重論もある。河野洋平が慎重論だし、参院は幹事長・小坂憲次が「東日本大震災を乗り越え、 日本の再生・復興のために大連立をつくることはある」と賛成なのに対して、政調会長・山本一太は「菅首相がトップに座ったままのなし崩し的な連立には反対だ。政策のすりあわせもない」と強硬な反対論を吐いている。しかし反対論者はいまや少数派になろうとしている。山本の理屈はそれなりに正しいが、大事を前にした場合「理屈はあとから貨車で来る」という政治の鉄則を知らない。確かに大連立をする場合の最大の障害は菅が首相であることであろう。ただでさえ原発対処のまずさで批判が与野党から上がっており、捨てておけば高転びに転ぶ可能性も大きい。しかし、政治的には引きずり下ろすことはほぼ不可能となった。いま「政変」を起こそうとすれば、国民から「大震災を前に何事か」という批判が生ずるのだ。「解散」などは遠い先のことになった。元自民党幹事長・野中広務が「菅ほど運のいいやつはいない」と漏らしているが、政治的には大震災がなければとっくに「退陣」か「解散」に追い込まれていたのに、いまは連立で主導権を握っている。
こうした中で期限を区切って政権に参画する「時限連立」の声が強まっている。中曽根に加えて、元首相・安倍晋三もそうだ。だいいち、衆院で9割、参院で8割もの数の国会議員を長期にわたってまとめて行くことなど、大震災の惨状なくしてはあり得ない。逆に言えば、復興のためにのみ存在しうる大連立なのであろう。従って仕事はまず5月連休前に復興第1次補正予算を組んで成立させるのを手始めに、東日本大震災関係法案、第2次補正、そして来年度予算編成などを手がけることになろう。そして来年の通常国会で予算を成立させれば、衆院の任期は3年に達する。大連立の役割はその辺で終了せざるを得まい。
自民党にしてみれば、衆院選での公明党の支援は不可欠なものとなっており、中曽根の指摘するように公明党との連携のためにも大連立をずるずると続けるわけには行くまい。おりから読売新聞の世論調査では、民主党と自民党が連立政権を組む方がよいと思う人は64%に上った。もはや当分の間“政争”に明け暮れしていることは許されなくなったのだ。自民党内も元幹事長・古賀誠や副総裁・大島理森も連立論であり、党内が大連立参画組と拒否組に分裂状況に陥る可能性も否定できない。谷垣にまとめる力があるかどうかだが、ここは与野党とも被災地の惨状を大前提にして、小異を捨てて大同につくべきときだ。
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