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2006-06-05 00:00
東アジア共同体の位置づけを象徴する今回の「地域通貨単位」研究合意
井原毅
商社員
5月31日開催された貴評議会の「第15回政策本会議メモ」を拝見しました。会議開催自体は大きな注目を集めながら、そこで実際には何が合意されたのかとなると、日本の新聞報道では殆どなにも報じられていなかったのが、先般のハイデラバードでのASEAN+3財務大臣会議だったと思います。それで、情報を求めて「もしかしたら」との思いで貴評議会のホームページにアクセスしたのですが、果たして私の期待に応えてくれました。
それは、「第15回政策本会議メモ」のなかで紹介されている井戸清人財務省国際局長の貴評議会に対する報告です。非常に貴重な情報でした。とりわけ、私にとって関心があったのは、いわゆるACU(Asian Currency Unit) について一体実際にはどんな話し合いがあったのか、ということでした。一部の事前報道では、最近のドル安進行とも関連させながら、ひそかに東アジア共同体に向けての通貨統合の話が進んでいるとの憶測も流されましたが、そのくせ会議のあとのフォローアップの報道はゼロでした。困惑しておりましたが、今回の井戸清人財務省国際局長の貴評議会に対する報告内容を知って、ようやく全貌が分かりました。
このような貴重な情報を広く公開してくださる東アジア共同体評議会の活動に改めて深く感謝したいと思います。さて、ハイデラバード会議の結果は、私も推察していたとおり、単に「地域通貨単位(regional monetary unit)」の研究が合意されたというだけのことであって、それはあくまで「地域における取引の勘定の計算単位、会計単位」の話にすぎないことが良く分かりました。井戸局長は「地域共通通貨(regional common currency) は、地域金融協力の考え得る究極的な目標であり、ユーロは50年かかっている。アジアでは100年かかるのではないか」と語っておられますが、「地域通貨単位」と「地域共通通貨」の違いをまず理解するところから、問題の正確な理解が始まるのだと思います。
いままでアジアには「地域通貨単位」すら存在しなかったことが重要なポイントであって、それがようやくスタートしたことを重視したいと思います。それは着実な前進でありますが、と同時に前途にははるかなる道程が控えていることも事実です。井戸局長が「100年かかる」と言われた意味を噛み締めたいと思います。「明日にも東アジア共同体が成立する」かのごとき楽観論とともに、「東アジア共同体なんて、永久にできない」という極端な悲観論も排したいと思います。ACU(Asian Currency Unit) に関する財務大臣会議の合意はそのような東アジア共同体の位置づけを象徴していると思いました。
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