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2011-03-07 00:00
次期総理候補たちは狙い撃ちされている
若林 洋介
学習塾経営
菅政権が危機的状況の中で、「次期総理候補」として前原外相、野田財務相が下馬評に上がりだした矢先、両人とも「政治とカネ」の問題が浮上してきた。「次期総理候補」がどうしてこれほど狙い撃ちされるのか。そして、マスコミはなぜこの問題を取り上げようとしないのか。
2年前、小沢民主党代表の西松献金疑惑の浮上も、ちょうど政権交代前夜における「次期総理候補」への狙い撃ちであった。その後、小沢氏が代表辞任に追い込まれた後、鳩山代表にバトン・タッチされたのであるが、政権交代を賭けた衆議院選挙の直前に、「次期総理候補」でもある鳩山氏の政治献金疑惑が浮上し、検察庁に告発されている。
これは何も民主党の政治家ばかりではない、「加藤の乱」(2000年11月)の約1年後(02年1月)に加藤紘一議員の私設秘書の所得隠しが発覚した。この件が致命傷となって、加藤紘一氏は、事実上自民党総裁候補(次期総理候補)としての地位を失ったことが想起される。また1993年の細川政権(反自民8派連立政権)が成立して数ヵ月後、佐川急便事件が発覚して、細川首相は退陣に追い込まれている。
またしても、マスコミは「政治とカネ」情報に飛びつき、政治評論家たちもただ便乗して、政治家たちの責任を追及するだけだ。「日本政治の病弊」がどこにあるかをしっかり指摘するのが、民主国家における「政治評論」の本当の役割ではないのか。個々の政治家の「政治とカネ」の問題が本当に重要な問題なのか、それとも「次期総理候補」と目されている有力な政治家がこのような謀略で次々と葬り去られる、という日本の政治のあり方こそが問題なのか。この問題をしっかり提起しないマスコミ・政治評論家は、民主国家のジャーナリズムの実力はないと言わざるをえない。
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