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2011-03-07 00:00
前原辞任で、解散か、総辞職かの「二者択一」に
杉浦 正章
政治評論家
ポスト菅の最有力候補・前原誠司の外相失脚で政局の選択は、首相・菅直人の交代によるリセット説が薄れ、退陣か、解散・総選挙かの選択しか残らなくなったように見える。野党は、いまや政権最弱点となった厚生労働相・細川律夫や、前原と同様に暴力団がらみの「政治とカネ」の絡む財務相・野田佳彦、行政刷新相・蓮舫の疑惑を追及する。できれば、さらなる“ドミノ倒し”を実現し、政権を揺さぶる構えだ。その上で早ければ今月下旬にも首相・菅直人の問責決議案の参院での可決で決着をつけたい方針だ。一見早期辞任が潔いように見えるが、前原辞任は必然だろう。このままなら外相問責決議案の上程と可決は避けられず、“野垂れ死に”のコースをたどるしかなかったからだ。野党は暴力団のフロント企業からの献金問題にも焦点を当て、第2、第3の矢を打ち込んだだろう。むしろ暴力団がらみの問題の方が辞任の真相という見方もある。
加えて、前原には、党内政治的に小沢一郎の「政治とカネ」を繰り返し“断罪”してきた立場がある。辞めざるを得ない状況下で辞任の選択をしたに他ならない。さらに、早期辞任が首相候補としての長期戦略には得策であるという判断もあったに違いない。菅にしてみれば、辞任は野党との条件取引の材料に使えたケースだが、前原は菅に利用されて“さらし者”になることも避けなければならない場面だった。前原グループは、最近菅とは一線を引き、幹部から「前原首相」意識の「退陣論」が公然と出始めていた。同グループ重鎮の代表代行・仙谷由人は、公明党に菅退陣と引き替えの予算関連法案譲歩を持ちかけたほどだ。早期辞任は、この前原グループを野に放つ結果となり、同グループの菅批判は、意気消沈するどころか、今後強まる流れだろう。
先のシュミレーションで、筆者は(1)解散総選挙、(2)内閣総辞職、(3)新首相への交代の3つの選択肢を挙げたが、このうち(3)新首相への交代は、前原の辞任でまず困難となった。手を挙げているのが、樽床伸二ではいかんともしがたい。野田も暴力団献金がある。岡田も幹事長を引き受けたおかげで満身創痍(そうい)だ。人材がいるようでいないのである。野党が追い込む場合の決め手になるのが首相問責決議案の可決だが、前原辞任を契機に公明党が問責も辞さぬ姿勢になってきたことが注目点だ。党代表・山口那津男は3月6日、首相問責決議案について「首相は求心力を失い、内閣として体をなしていない。国民の信を失っている」と述べて、前向きな発言をしている。既にみんなの党は決議案提出の方針を固めている。
リーダー役の自民党は決議案提出のタイミングを見計らっているが、大勢の流れは早期決着に傾いている。野党は7日からの予算委員会で嵩(かさ)にかかって攻めまくり、前原に次ぐ細川、野田、蓮舫の3点セットを追及するだろう。とりわけ細川が会社員の妻らの国民年金被保険者切替え漏れ問題について「救済制度を知らなかった」と答えるなど、信じられないほどの稚拙な答弁を繰り返しており、集中攻撃の対象にする方針だ。
菅は、仙谷ら閣僚2人の問責可決で改造を強いられたばかりであり、前原辞任で既に3人のドミノ倒しが成立したことになる。政権基盤は有力閣僚の相次ぐ交代でまさにぼろぼろの状況にある。しかし、菅が解散と総辞職のいずれを選択するかは、安易に断定できる状況にない。小沢が岩手で6日「菅さんはいろいろ発言しているが、破れかぶれで解散することもあり得る」と“やぶれかぶれ解散”に繰り返し言及したのは、菅の性格をよく知っているからだ。権力への執着心が強く、引きずり下ろされるなら解散を選択するという判断だろう。しかし、予算取引意識の条件闘争なら“話し合い解散”もあり得るだろう。解散か、総辞職か、いずれにしても食うか、食われるかの正念場に入った。
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