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2011-02-17 00:00
小沢系の“会派離脱”と鳩山の“普天間発言”で菅窮地に
杉浦 正章
政治評論家
「祟りじゃぁ~」と首相・菅直人なら叫んで、走りたくなるのではないか。あの普天間が、またまた政権を倒しかねない要素として登場した。鳩山普天間辞任に次いで、菅の普天間窮地である。前首相・鳩山由紀夫の「方便」発言に、社民党党首・福島瑞穂が「方便で私は辞めさせられたのか」と“柳眉”を逆立てて憤り、同党は予算関連法案の天王山である「特例公債法案」反対へと大きく傾斜したのである。外敵ばかりではない、内乱も本格化し、小沢一郎系議員の「集団会派離脱」による政権揺さぶりの“奇策”が2月17日未明急浮上した。党分裂に直結しかねない動きである。
16日の衆院予算委集中審議でも、論議の中心は、鳩山発言に端を発した普天間移設問題。社民党が関連法案賛成の条件として提示している移設経費凍結問題で、自民党の町村信孝の追及に、菅は逃げの一手だったが、さすがに誠実そうな国家戦略相・玄葉光一郎は「普天間関連予算については、かなりハードルが高い」と正直に答弁した。防衛相・北沢俊美も「理解できない。私の人生の中でも1、2を争う衝撃的な言葉だった」と鳩山発言を批判して、凍結について「イエスかノーかで聞かれれば、ノーだ」と答えた。もともと移転費用などを凍結すれば、日米関係や国内世論に決定的な衝撃をもたらすのであり、末期政権としては耐えられるものではない。おそらく国会対策委員長・安住淳あたりの苦し紛れのミスリードに、大新聞が引っかかってトップ扱いしたことが、問題を大きくしたのだろう。
一方、凍結を要求する社民党も、福島が鳩山発言に感情的な怒りを爆発させ、「方便で私は閣僚をクビになったのか。本当にひどい」と、昨年の閣僚罷免劇に言及した。これをうけて国対委員長・照屋寛徳も、予算委で鳩山の参考人招致を要求、野党の足並みがほぼそろった。福島は16日、移転経費凍結など関連法案修正協議について「もう話し合いの余地がないという部分も出てくるかもしれない」と、事実上打ち切りの方向を示した。さらに「今の菅政権の評価も絡んでくる」と法案修正判断が政権自体の存否、つまり「政局」絡みであることを示唆した。加えて「鳩山発言も反映する」と述べ、「方便」発言が導火線になっていることも明らかにしている。こうして普天間問題というパンドラの箱を開けてしまった鳩山が、再び政権に決定的なダメージを加えそうな様相となってきたのだ。
一方で、小沢が2,3日前から「考えがある」と謎めいた発言をしていることが気になっていたが、奇策となって現れた。「離党」はせずに、「会派の集団離脱」だ。衆院議員10数人の規模だという。もちろん衆院での予算関連法案再可決はひとたまりもなく不可能になる。前例のない規模の「1党2会派」であり、これは菅を倒そうという、倒閣運動に他ならない。「離党」を避けたのは、若手の“恐怖感”を和らげるためとみられる。どぎつい「離党」でなく「会派離脱」なら、数を集めやすいからでもあろう。しかし、ことは党議拘束のかかる重要法案の投票に決定的なダメージをもたらす反党行為であり、小沢が実施に移せば、「事実上の党分裂」に発展するだろう。国民不在の「野良犬のケンか」(渡辺喜美)がいよいよ食うか食われるかの段階に入った。菅政権は“風前の灯”と形容せざるを得ないだろう。パンドラの箱は、これを開いたため不幸が飛びだしたが、急いで蓋をしたため希望だけが残ったというが、小沢と鳩山がまた開いて、希望もどこかに飛んでいった。
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