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2006-06-01 00:00
中長期的視点でも議論が必要では
斉藤欽一
会社員
「CEACコラム」に掲載された叶芳和教授の「米中による世界共同管理論の台頭」に対して、西岡健司氏は5月29日付けの投稿で「この議論は端的にいって中国側に都合の良い、いわば wishful thinking の請け売り以外のなにものでもありません」と批判的コメントを寄せておられます。他方、同様に「CEACコラム」に掲載された村井友秀教授の「中国の戦略、注視の段階」に対して、竹田翔太郎氏は5月27日付けのの投稿で、「日本が米国からはしごを外されて対中外交で狼狽するリスクはないか」と指摘しておられます。同じ米中関係について、まったく違う2つのコメントが出てきているわけですが、この際私も私なりに感じたことを述べさせて頂きたいと思います。
ビジネスの世界でよく使われる分析手法の一つに「SWOT分析」という手法があります。企業がその短・中・長期の方向性を検討する際に用いるものです。短・中・長期別に管理できる内部環境として、その企業自身のもっている強み(Strength)、弱み(Weakness)の分析(例えば技術力は高いが、販売力がない)を行ない、また管理できない外部環境として、機会(Opportunity)と脅威(Threat)の分析(たとえば少子高齢化現象はある企業にとっては機会ですが、違う企業にとっては脅威です)を行ない、それらの分析結果を踏まえて経営の短・中・長期の方向性を議論するというものです。
私は、現在の日本における中国に関する議論に欠けているものは、まさにこの「SWOT分析」だと思います。例えば短期的には米国が日本を飛び越えて中国と「世界共同管理」を目指すことは確かに中国側の wishful thinking にすぎないかもしれません。しかし中長期的に考えた場合には、これはまったくありえないシナリオでしょうか。中長期的には中国の経済成長が進めば進むほど、中国の政治体制もその影響を受け、共産党の一党独裁体制は崩壊しないまでも、大きく変質する可能性があります。これらの中長期的な変化をも視野に入れた場合、米国にとっての中国のもつ機会と脅威のバランスはいつまでも現在と同じであるとは断定できないのではないでしょうか。中国の過去の歴史における本音と建前の使い分けのしたたかさや、かってアメリカのキッシンジャー外交に見られたマキャベリズムに日本が翻弄されないためにも、この分析手法の有効性を試してみる価値はあると思うのです。
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