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2011-02-07 00:00
解散・総選挙=自・公政権復活でよいのか?
若林 洋介
学習塾経営
政権交代を政界の新陳代謝のシステムとして捉えることが必要だ。自民党中心政権に代わって、民主党中心政権が樹立したことは、政権の担い手の交代という面で評価に値するものであった。ところが新政権に新鮮な血液(人材)が注入されたことは結構なことではあったが、「政権の樹立」「政権の創造」のプロセスに入るやいなや、その未熟さのゆえに、さまざまな困難に直面することになった。そこでやむなく、菅首相は、旧自民党のベテラン議員の与謝野馨元財務相を招聘して、建て直しを図るということになった。旧政権の破壊から新政権の創造へのプロセスは、険しい道のりであることは、想定内でもあるが、想定外でもあったのだ。
ここで指摘しておきたいことは、自民党長期政権において現職の自民党政治家たちがやって来たことは、「政権の維持・継続」という課題であり、現在民主党が直面しているような「政権の樹立・創造」という課題ではないということだ。いかにも民主党政権が無能であるかのように見えるが、それは自民党のように先行政権の基盤に乗っかって、「政権を維持・継続」してゆけばよいというわけにはいかないからだ。現状では、民主党政権の未熟さを批判することは容易であるが、「政治システムとしての政権交代」についての理解がはなはだ欠如していると言わざるをえない。「破壊のプロセス」は容易であるが、「創造のプロセス」はきわめて難しい、というのが一昨年以降の政権交代の教訓であろう。
ここで解散・総選挙を主張するのは、旧政権の復活を目論む自民党であるが、あろうことか、かつて政権交代めざし民主党政権の樹立を支持していた連中まで「解散・総選挙」を主張する体たらくだ。「創造のプロセス」が苦しいから、再び「破壊のプロセス」に戻ろうということなのか。もう一度言おう。「破壊」のプロセスは容易だが、「創造」のプロセスは厳しいのだ。今ここで「解散・総選挙」が実現したなら、「自民党(中心)政権の復活」という結果に終わることは間違いないだろう。
自民党の政治家たちが、自民党優位(世論調査)の勢いがあるうちに、「解散・総選挙」に持ち込もうというのはわからないわけではないが、かつて政権交代を支持した連中が、「自民党(中心)政権の復活」を唱えるのは、無節操というほかない。現状の菅政権は、与謝野新党(与謝野馨・柳沢伯夫)との連立政権を組んだということになろう。とはいえ、まだまだ民主党中心政権としての陣容は保持されている。すなわち、現在の日本国民の選択肢は、「菅民主党・与謝野新党連立政権」か、「谷垣自民党・山口公明党連立政権」かの二つの選択肢しかないのだ。もしも「解散・総選挙」が実施されるならば、谷垣自民党・山口公明党連立政権」が樹立され可能性がきわめて高いということになろう。「解散・総選挙をすべきだ」=「自公政権が復活すべきだ」ということが本当にわかっているのであろうか。
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