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2011-02-03 00:00
これでは「脱小沢」どころか、「入小沢」ではないか
杉浦 正章
政治評論家
これでは「脱小沢」どころか、「入小沢」ではないか。強制起訴と同時にやるかと思っていた元代表・小沢一郎に対する処分を、民主党執行部はぐずぐずと先延ばしにして、やるにしても小沢にとって何の痛痒もない「党員資格一時停止」らしい。この政権の食言には慣れているが、元旦に一年の計のごとく小沢に議員辞職を求めた首相・菅直人の発言は、もう「ぶれ」と言うより、「欺瞞」と言った方がよい。まるで八百長相撲の「立ち上がりは強く当たって、あとは流れでお願いします」と、そっくりだ。国民はよく見ている。読売新聞の世論調査の支持率は20%台に逆戻りしており、今後必ずボデーブローとして利いてくる。要するに、予算が通らなければ、解散か総辞職に追い込まれるという菅の恐怖心が、すべての根源にある。小沢サイドから、やくざのように「オレはいいけど、子分が黙っちゃいないよ」と脅されている構図だ。たしかに数人が離反するだけで、予算関連法案の成立はおぼつかなくなる。国民新党幹事長・下地幹郎が「ケンカは4月からにしてほしい」と幹事長・岡田克也に申し入れたのも、こうした流れを察知した上でのことだ。
菅が2月1日の予算委答弁で、なぜか「小沢氏によって二重権力構造などにはなっていない」「小沢問題は山を越しつつある」と述べたが、これは執行部の問題長期化作戦への布石ととれば理解できる。「脱小沢」は達成されつつあるという認識を事前に示すことにより、方針転換の非難をかわそうという淺知恵に他ならない。執行部は今日から臨時役員会で小沢処分の論議を始めるが、岡田が2日「結論の期限は設けない」と言っているようでは、底が割れている。いつの処分になるか分かったものではあるまい。先に書いたように、党倫理規定が定める処分は軽い順に党員資格停止、離党勧告、除籍があるが、長期化したあげくの果てが党員資格停止という方向のようだ。
それも数か月の期限付きだという。これでは世に言う「お茶を濁す」ていどのごまかし処分にすぎない。小沢にしてみれば、離党もないし、議員辞職もないということになり、笑いが止まらないとはこのことだろう。勝ち誇ったように、小沢グループの参院国対委員長・羽田雄一郎が2日「推定無罪の原則から言っても、司法の場での決着を見守ることが大切だ」と述べ、なんと判決が出てから処分を判断すべきだとの考えを示した。原理主義者であったはずの岡田はふらついたあげくなめられたことになる。
事実上、執行部は小沢の「逃げ切り」を黙認することになるが、その意味するところは、国会が依然として不毛の「政治とカネ」論議に終始するということだ。しかも参院で否決された法案を衆院で3分の2で再可決することなど、一つや二つは成立できても、全法案をやれば、それこそ解散か総辞職に直結する。いずれにしても、突破口にはつながらないのである。振り上げた拳で頭をかいている菅の姿は、醜態と映るであろう。読売の世論調査では、小沢の議員辞職か、離党を求める声は、合計で76%に達した。菅が「指導力を発揮していない」は、何と79%だ。改造で一時戻した支持率も27%で低迷の極みに戻った。おそらく民主党執行部は、支持率急落を覚悟で、小沢問題の長期化を選択したのだろうが、野党は追及の材料に事欠かない。統一地方選挙や総選挙の惨敗が、三流週刊誌やコメンテーターでも予言できる段階となった。まさに国民の判断も「あとは流れでお願いします」だ。
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