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2011-01-25 00:00
英語教育は"I have a book." が原点
四条秀雄
不動産業
先に「日本人の英語教育をどうするか?」に関して投稿しましたが、今日はより具体的に「"This is a book." ではなく、"I have a book." が基本なのだ」という持論を述べたいと思います。
外国語は、身体感覚で覚える必要がありますが、そのためには、母語のスイッチを切る必要があります。母語では用を成さないという強い断念と目前の相手と会話を為さなければならないという切迫した状況の2つの条件が重なる必要があります。この母語を失った状況の中で、使えるものは何でも使って会話を為そうという心の覚悟と脳の格闘が始まりますが、身体感覚で英語を考え直す点で、参考になると思うのは、大西泰斗さんの『英文法をこわす』などが良いのではないかと思います。前置詞の身体感覚などが詳しく書かれています。そして、身体感覚で英語を捉える上で、役に立つのが "have" を中心としたモデルで考えるということです。
私は、別のところで「日本語はプラネタリウムのような言語だ」と書きましたが、これに対して「英語は "I have a book." から始まる言語だ」ということができます。現在の中等英語教育では、最初に習う英語のテキストは "This is a book." ですが、この一文を最初に持ってくるのはプラネタリウム的(日本語的)です。従来の英語教育は、本質的には明治以来蓄積された翻訳技術を教育課程に取り込んだもので、日本語の中に英語で記述された内容を取り込む技術を教える教育であると思います。つまり、英語教育ではなくて、国語教育の重要な一分野なのです。目の前の英文を過去の蓄積である英和辞典と一定の変換規則で日本語に直していく。ですから、実際には日本人は英語そのものを習っていないとも言えます。この辺は、菅原克也さんの『英語と日本語のあいだ』に詳しく書かれていますので、そちらを読んで頂けたらと思います。
そこで私は、英語の世界観を感覚するには、"I have a book." から始めたほうが良いのではないかと思うのです。まず、"I" という原点と "have" という領域・縄張りが基本としてあるからです。英語というのは、人間の身体五体周りの空間を分節化して、それぞれに意味を与えて前置詞をつくり、空間と主観の関わりを "have" のような動詞で示し、これらを基本的な道具にして世界を述べる言語です。また、日本語では感覚が淡い "have" を強く意識するようになると、英語の世界観での丁寧・謙譲表現などが理解しやすくなるかもしれません。本音を助動詞や副詞のオブラートで包む工夫のバリエーションが見えるようになるからです。
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