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2011-01-24 00:00
民主・自民両党とも、国民の要望を直視せよ!
浦木 赳治
大学院生
先日の菅政権による内閣改造は、何とか与謝野氏を引き込んで連立内閣の体を保ったが、政権の求心力を浮上させる道筋は未だ遠いようだ。政権として、国内経済の大胆なグローバル化には踏み切れず、労働・社会保障・幼保一体政策の改革も中途半端なものとなった。それだけでなく、小沢一郎元幹事長の起訴をめぐって果断な対応に中々踏み込めない党執行部の現状に、民主党政権発足からわずか1年半弱ほどで有権者の間から倦怠感や現状に鬱屈した批判が民主党に対して浴びせられている。本稿執筆時点で、すでに臨時国会が開会したにもかかわらず、民主党に対し批判的な政党や論者からは、衆議院解散を求める声が上がっている。となると、昨年2010年の参議院選で自民党が勝利したことを国民のお墨付きとして、自民党が一気に攻勢を強めそうなものだし、実際攻勢を強めているが、自民党が民主党に完全な対決姿勢を示すことに、有権者が積極的支持を与えているとも到底思えない。
事実、この選挙では、財政・公務員制度改革などをめぐって自民党から離脱したみんなの党が、予想以上の躍進を見せた。一体この宙ぶらりんの状況は何を表しているのだろうか?現代では、経済のグローバル化の進展による競争激化によって、国内問題での争点の枠は狭まり、社会の構造や価値観の多様化によって、政党への国民の要望も多様化を迫られ、二大政党制が時代の趨勢に合致しなくなっているといわれる。社会の変化の速度が早まり、有権者の興味・関心や優先順位に対する認識も瞬時に変化する今の時代にあっては、二大政党が有権者の多様な要望を吸い上げることは困難になる。そのため、有権者は政党の掲げる特定のイデオロギーや理念で支持政党を選ばずに、地球温暖化、経済危機、災害や感染症への危機管理、外交政策の統一性など、その時々で浮上しては消え、消えては浮上する問題に対し、政党を横断して、実務的に対処できる能力をもった政治環境を求めるようになる。
それゆえ、瞬時に移り変わる問題群への政府の対応に有権者は瞬時に一喜一憂するようになり、結果的に選挙ごとの政党支持は流動的になる。そしてその現実こそが、2009年の衆議院総選挙で自民党を大敗させた当の有権者が、翌年の2010年の参議院選挙で、今度は自民党を勝利させる、というある種矛盾した投票行動をとらせた要因だと考える。これを踏まえると、支持を失った民主党政権を徹底して攻撃し、有権者に政権担当能力を持っているのは自民党だとの印象を与える戦略を、自民党は本気で有効なものと信じているようだが、この戦略はかえって有権者の失望感を招き、次回の選挙で自民党を弱める結果となるのではないかと考える。有権者が二大政党に求めているのは、是々非々の政策協調による問題の打開だからである。
事実、去年の尖閣問題への対応においては、自民党側に対して「中国との交渉ルートを政府に提供するなどの協力をすべきだ」と呼びかける論調も、各紙社説や投書欄で見られた。国民の求めるものは、不毛な対立の長期化による問題解決の先送りではない。この事実を早急に野党側の自民党が察知しない限り、重要法案の審議や可決は先送りにされ、自民党が掲げる“民主党不況からの脱却”を、自民党みずからが遅らせる結果を招くことだろう。民主党側も、人気目当ての大盤振る舞いととられかねない予算策定は止め、政府の限界をきちんと説明し、その上で不人気な政策も覚悟で長期的な目標を提示すべきだ。現時点で可能な政策と困難な政策を区分けし、課題への対処方法を長期的な目標のもと体系的に整理したうえで、優先順位を定める必要がある。自民党、民主党双方にとも、国民の要望を直視して、現在の行動を改めない限り、わが国の将来の可能性はさらに狭められるであろう。正面から現実に目を向け、行動に移す時が来ている。
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