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2011-01-13 00:00
ロシア政府高官の北方領土訪問にどう対処すべきか
菊池 誉名
日本国際フォーラム研究員補
ロシア政府高官による北方領土訪問が続いている。昨年11月1日にメドベージェフ大統領が国後島を訪問したことを皮切りに、12月13日にはシュワロフ第1副首相が国後島と択捉島を訪問した。一部の報道では、さらに今年初めにロシア連邦政府の閣僚一行が北方領土を訪問する見通しだという。「領土問題は存在しない」との態度をとってきた冷戦時代のソ連ですら、このような行為に及んだことはなく、ロシアの北方領土問題に対する態度が強硬化しているのが見てとれる。日本はこの事態に如何に対処すべきだろうか。
尖閣諸島と異なり、北方領土は1945年8~9月にソ連軍によって占領されて以来、ロシアに実効支配されている。そのためこちらが手をこまねいていれば、永遠に返還される見込みはない。これまでの日ロ間の交渉では、1956年の「日ソ共同宣言」で歯舞群島、色丹島を平和条約締結後に日本に引き渡すことが合意され、93年の「東京宣言」ではさらに北方4島の帰属は日ロ両政府間で交渉中の事案であることが確認されている。この度のロシア政府高官による北方領土訪問は、こうしたこれまでの交渉経緯を無視して、ロシア側が一方的に実効支配を強めようとする行為に他ならない。そのため日本側からも何らかの行動を起こさなければ、事態は益々日本にとって不利になっていくだろう。
いうまでもなく、ここに至るまでの背景には、日本側にこの事態を誘発させる一因があったのは確かである。ロシアとの交渉において「政経不可分」の原則を崩して、対ロ経済協力を優先させたのは、結果的に失敗だった。ロシア側は経済協力の成果だけをただ取りしたからである。日本国内において「面積折半論」や「3.5島返還論」等といった声があがったのも、ロシア側に「日本側は『4島返還』にこだわっていない」との誤ったメッセージを送るだけの結果になり、今日の事態を招く原因をつくった。
今後、ロシアとの領土交渉を進展させるうえで重要な点は、政府も、国民も、声を一つにして「4島返還」の原則をロシアに訴えていくことであるのは、言うまでもないが、それだけでは事態は改善しないだろう。それと同時に、今回のロシア大統領の北方領土訪問のようなロシア側の不当、不法な行為に対しては、これに断固として抗議することが必要である。それも言葉の上の抗議だけでなく、行動を伴った抗議をすることが必要である。中国は日本の首相の靖国神社参拝に対して、言葉で抗議するだけでなく、行動で抗議した。小泉首相とのいっさいの面談、会談を拒否したのである。その後の日本の首相たちが、結果として靖国神社参拝を控えているのは、そのような中国側の強い態度を意識しているからである。日本は、このような中国の態度を参考にすべきである。
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