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2011-01-06 00:00
サイバー戦争の危険性の高まり
岡崎研究所
シンクタンク
『ファイナンシャル・タイムズ』紙12月2日付で米国のコンピューター・セキュリティ専門家、Bruce Schneier が「サイバー攻撃はすでに実例があり、サイバー戦争に拡大する恐れがあるので、それに対する国際的な取り決めを考えるべきだ」と論じています。すなわち、「通常の紛争では攻撃者と動機を見極めてから反撃するが、インターネットの場合は攻撃者も動機も分からない。そうなると、間違った理由で、あるいは間違った標的に報復し、事態が収拾つかなくなりかねない。従って、サイバー戦争のリスクを限定するため、まず世界のサイバー司令部間にホットラインを設置し、次いで、容易ではないが、新しいサイバー条約を締結することが重要だ。条約には、先制不使用の方針、不特定多数を標的とする兵器の違法化、交戦状態が終了したときに兵器が自己破壊することを義務付ける等の規定を盛り込むことが考えられる。また、国際銀行業務を攻撃対象から外すことで合意することも必要だろう。これらの規定の執行は難しいかもしれないが、やってみるべきだ。さもないと、下級将校の軽はずみな行動や国家以外の者の行動あるいは偶発事故によって何か大事件が起こり、それに対する報復がなされると、本当にサイバー戦争になりかねない」と言っています。
サイバー攻撃の脅威に対する関心が急速に高まっています。それはサイバー攻撃の被害が測りがたいものである上に、シュナイアーも指摘するように、「サイバー兵器は、これまでの兵器と異なって、攻撃者と動機の特定が極めて困難であり、エスカレートする危険性をはらんでいる」からです。
その上、サイバー攻撃には、ネット接続を遮断する(エストニアやグルジアに対するロシアからと見られる攻撃)、機密を盗むためにシステムに侵入する(中国からのものと見られる米国への攻撃)、産業制御システムを感染させる(イランの原子力施設に対するイスラエルからと見られる Stuxnet 攻撃)など、いくつもの種類があります。
サイバー戦争の危険を防止するための国際協力は、シュナイアーが指摘するように容易ではないでしょう。そもそもサイバー兵器は、存在自体が秘密にされており、軍備管理になじみにくい上に、核兵器の場合は、広島や長崎投下があったうえに、多くの核実験も行われて、その破壊力が実感されていますが、サイバー攻撃はこれまでのところは限定的で、本当の恐ろしさの実感がありません。しかし、サイバー攻撃の潜在的破壊力についての警告は、広く行われ始めていますので、何らかのサイバー軍備管理を考えるべきだ、という機運は次第に高まっていくでしょう。
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