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2010-12-27 00:00
問われる「たちあがれ日本」の判断
花岡 信昭
拓殖大学大学院教授
菅政権とたちあがれ日本の連立話には驚いたが、あり得ないことではない。その一点だけ見据えると、目指すべき国家像も政治理念も政治姿勢もまったく異なる政党じゃないかということになるが、政治の世界ではときにこういうことが起きる。つまりは、もっと大きな仕掛けの一端が頭を出したものと見れば、理解しやすくなる。いわゆる「大連立」へのシナリオの一環という見方だ。
政治というのは、ときに当事者の思惑も超え、ひとりで転がり出すことがある。点だと思っていたことがつながって面になる。そのくらい柔軟な発想で見ていかないと、政治展開のダイナミズムにはついていけない。考えてみると、細川8党派連立政権が誕生するなどということは、だれも予測しえなかった。たちあがれ日本との連立が実現可能性を持っているのだとすれば、これが接着剤となって、大連立ないし中連立が一気に進むという展開だ。
菅首相や仙谷官房長官が「小沢切り」に突っ走っているのは、その環境づくりの側面が濃いと見ることも可能だ。大連立というのは小沢氏の専売特許かと思っていたら、菅―仙谷ラインが生き残りをかけて飛びついたということか。保守中の保守たらんとする平沼赳夫氏の国家観は菅氏とはまったく異なる。だが、平沼氏が連立の話に対して即座に拒絶姿勢を見せなかったところに、何かがあるとも思える。救国政権が必要だという思いから、当面、菅氏との違いを乗り越えて大連立(中連立)に突き進もうということであるならば、そういう政治的選択はあり得る。
その場合の最大の政策課題は諸費税だ。与野党で争っている間は消費税のアップなどできるものではない。ドイツも大連立によって消費税引き上げが可能になった。来年度予算は一般会計92兆円だが、税収41兆、国債44兆、埋蔵金7兆という構成だ。2年連続で税収よりも国債の方が多い。これをいつまでも続けていくわけにはいかない。その切り札はだれが考えても消費税しかない。たちあがれ日本の共同代表である与謝野馨氏は大連立に積極的といわれる。平沼氏はどう判断するか。ここはちょっと視野を広げて政治展開を見据える必要がありそうだ。
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