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2010-12-16 00:00
与野党習熟期間の国政停滞は授業料
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
このところ「菅内閣の危機だ」とか、「政権維持がにわかに危うくなった」といった論調が、マスコミを賑わしている。マスコミたるもの、ニュースがなければ作ってでも煽っていた方が面白いのだろうから、それはそれで結構だ。しかし、本気で菅内閣の存続が危ぶまれる事態がにわかに発生した、と思い込む人が出るとすれば、ややマスコミの罪は重い、というべきだろう。というのも、民主党が参院選に惨敗して国会が「ねじれ」てから、別に何も変わっていないからだ。
参議院では野党が多数なのだから、問責決議案なんていうのは、出せば通るに決まっている。その度に閣僚を取っ替えていたのでは、たまったものではない。だから問責された方は、殊勝な顔をしていれば良いので、まともにとりあう話ではない、というのは誰が考えても解る理屈だろう。「取り替えないなら審議拒否だ」などという暴挙に、まさか野党が出るとも思わないが、出たら国民の支持がどちらに傾くか、これは三歳の童子にでも明らかだ。国政が停滞するのは困ったものだが、理由が「ねじれ」にあるのなら、誰が出てきても同じことだし、だからといって、一つ覚えの解散総選挙も問題の解決には遠い。要するに、突然菅内閣が危地に陥った訳でもなんでもない。
与野党どちらも習熟期間にあり、双方がなんとか事態に折り合いを付ける手法を見つけない限り、この国の政治は永遠に停滞する運命にある。もちろん離合集散による多数派工作、という手はないではないし、その方向に向かってうごめいている老害現象があったり、恥を知らない鳩ぽっぽが飛び回ったりしたりもする。「人を以て言を廃せず」とは、孔子様の名言だから、うごめいている人間が気に入らないからといって、一概にその動きそのものを否定するのも、当たらないのかもしれない。
ちなみに政局議論に際して「菅内閣は何をしたいのかが解らない」という苦言は、「しっかりしろよ」というエールであって、「だから、取り替えるべきだ」という論拠になる話ではない、というのは再認識した方が良い。かつての自民党時代の総理を何人か思い起こしてみれば、やりたいことが判然としていたのは小泉純一郎だけだった、という事実に思い当たるだろう。何も菅さんに限った話ではない。さて、いささか頼りなげなこの政権が習熟期間を終えるのと、自民党が野党としてのそれを卒業するのと、どちらが早いか。野党としては十分に成熟しているかに見えるみんなの党が、どんな形で存在意義を示すのか。しばしの国政停滞は、授業料だと思う他はあるまい。そんな大義の前には、およそルールというものを無視している妙な存在を除去してかかるのは、当然の話だろう。
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