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2010-12-15 00:00
鳩山の引退撤回は、手抜き工事業者の復権と同じ
杉浦 正章
政治評論家
史記にに「功を成す者は去る」とあるが、さしずめ「功を成さざる者は去らず」か。前首相・鳩山由紀夫が近く「辞めるの止めた」と宣言するそうだ。惜しまれて辞める政治家は多いが、世論に抗してこれだけ居座る政治家もめづらしい。ここまで空気を読めぬKY政治家もまた珍しい。落語調で言えば「どこの世界にもごますりはいる者でして」となる。12月14日にも松木謙公衆院議員ら北海道選出の民主党国会議員有志が鳩山に「日本国の大リフォームの実現が確実になるまで、党を引っ張っていただきたい」とする要請文を手渡した。「サルもおだてりゃ、家建てる」で、鳩山は“党内の期待”に応え、18日の地元後援会で首相退陣時に明言した政界引退声明を正式撤回するという。しかし松木さんらは“リフォーム業者”の選択を間違っていないか。
鳩山の“業績”のゆえに、民主党政権のリフォームは大失敗に終わろうとしている。マニフェストという、設計図とは似ても似つかぬ手抜き工事で、目玉の子ども手当は息も絶え絶え。改修する財源など、派手なパフォーマンスをいくら繰り返しても、どこにも見当たらない。その設計図を描いた“棟梁”が、就任8か月の工事半ばで工事を放り出して、「もう2度とやらない」と宣言したのではなかったのか。松木らは「北方領土問題などをやっていただきたい」と言うが、本当にルーピー鳩山さんに任せて大丈夫なのか。普天間問題を「国外、最低でも県外」と言ったのが、この国に祟りをもたらし、尖閣事件やメドベージェフ北方領土視察へと結びついていることが、分からないのか。その鳩山が対露外交に乗り出したら、どうなる。日本中が悪夢にうなされることになるのだ。稚拙なる民主党政治の象徴のようなお方に、ゴマをするのも、ほどほどにすべきではないか。
鳩山は党代表時代に、自民党の森喜朗が退陣後も政治活動をしていることに対して「総理たる者、退任後に影響力を行使しすぎてはいけない」「総理まで極めた人が、政治の混乱を招いている」と口を極めて批判している。しかし自らの退陣後は「カラスが鳴かない日はあっても、ポッポが鳴かない日はない」。動きを活発化させているのだ。それも政界悪役の象徴小沢一郎を擁護してやまないのである。連日のように講演を繰り返し、小沢擁護論を展開する。夜は夜で、小沢や輿石東らと「同じ穴の狢(むじな)ごっこ」に耽る。しまいにはいまは落ち目の新党改革代表・舛添要一まで招いて「下手をすると、新党に走るぞ」と言わんばかりの示威行動を展開する。
自ら「政治の混乱」を招く張本人になって、はばかることを知らない。日本の政治を悪くしているだけではないか。「ひょっとして来年解散があるかも」と述べるあたりは、鳩山も本能的に身の危機を感じ取り、後援会組織の再構築に向かうのであろう。自民党は、有力な落下傘候補でも“刺客”に立てて、対決させてはどうか。まさか民主党は鳩山を比例に廻すことはあるまい。面白い勝負になる。「功成り名遂げて、身退くは天の道なり」でなく「功成らず名を汚して、身を退かぬ」お方の戦いぶりが見たい。
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