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2010-12-09 00:00
尖閣外交は、自民党政権の方がヒドかった
若林 洋介
学習塾経営
先月(11月)末の「朝まで生テレビ」で、桜井よしこ女史(政治評論家)は「2004年3月の尖閣不法上陸事件においては、小泉首相は『自らの政治判断で強制送還を指示した』と記者会見で表明した。今回の菅首相のように、政治家としての責任回避はしなかった」と述べていた。すなわち「民主党政権よりも、自民党政権時代の方がよりましであった」ということを主張したかったようだ。他の民主党政権を批判する論者たちも、04年の尖閣不法上陸事件と本年の漁船衝突事件の比較において、「自民党の尖閣外交の方が、民主党よりもマシであった」と主張するケースが多いようだ。
私は、今回の中国漁船衝突事件については、小泉政権下における04年の尖閣不法上陸事件よりも、福田政権下における08年の尖閣沖台湾遊漁船衝突事件の方が、はるかに類似性が高い事件であると思う。この時は、海上保安庁の巡視船と領海侵犯した台湾遊漁船とが衝突し、台湾遊漁船は沈没したが、船客10数名は救助され、船長ほか3名は拿捕された。これに対して、台湾総統府の首相(行政院長)は、議会において「対日開戦も辞さず」という発言さえして、日本政府に対して、強力な圧力をかけたのだった。
当時の福田内閣(町村官房長官・田中真紀子外相・小野寺外務副大臣)は、台湾側の強硬策に屈し、謝罪に追い込まれ、賠償金まで支払わされるという、屈辱的な結末に至った。桜井よしこ女史などが、つい2年前の尖閣沖・台湾遊漁船衝突事件のことを、まさか知らないはずはないと思うが、なぜか誰も取り上げようとしないようだ。
この08年の尖閣沖・台湾遊漁船衝突事件については、どのマスコミも、政治評論家たちも、一切議論の遡上に乗せようとしないのであるが、このことを国民が知ったなら、「尖閣外交は、自民党政権の方がヒドかった」ということを容易に納得するに違いない。また仙谷官房長官や馬渕国交大臣の問責決議案も、自民党には提出する資格がない事がはっきりするということになる。こうしてみると、自民党の方が民主党よりもはるかに「ズル賢い」政党であることは、明白ではないか。
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