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2010-11-29 00:00
苦し紛れの中国「6カ国協議」提案
花岡 信昭
拓殖大学大学院教授
北朝鮮の韓国砲撃によって、一番困っているのは中国ではないか。そう感じてきたが、打つ手がなくなったのか、中国は6カ国協議の緊急代表者会合を提案した。これを伝える産経ネット配信記事。
<【北京=矢板明夫】中国の武大偉・朝鮮半島問題特別代表は11月28日、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の緊急首席代表者会合を、12月上旬に北京で開催することを提案した。武代表は首席代表者会合について、「6カ国協議の再開を意味するものではない。協議再開の条件づくりだ」と述べた。>
東アジア地域をめぐり、すさまじい国際政治の神経戦が展開されているわけだ。中国とすれば、これまでの関係からいっても北朝鮮を抑え込まなければ、立場がない。韓国に外交の最高責任者である戴秉国国務委員が急きょ出向いて李明博大統領と会談した。会談は2時間以上に及んだというから、異例の長さだ。この場で韓国側は中国側に対して北朝鮮に抑制的な態度を取らせるよう努力すべきだ、と迫ったのではないか。
中国側は黄海で行われた米艦軍事演習を非難したようだ。空母ジョージ・ワシントンが登場したことが、中国にとっては厄介だからだ。空母派遣はアメリカの強い意志表明であり、この演習は北朝鮮向けというよりも中国向けのニオイがする。韓国は同盟国アメリカとの強いきずなを強調して見せた。米韓関係はいま、日米関係とは比べものにならないほど緊密と見るべきだ。中国にしても、国境を接した北朝鮮が本格的な核保有国となってしまうと、これまた厄介だ。いうことを聞かない北に手を焼いているのが実態だろう。
窮地に追い込まれた中国が、6カ国協議の準備会合のようなものを提案することで、とりあえず態勢を立て直そうとしているのではないか。米韓がこれに応じるとは思えない。北朝鮮にやりたい放題やらせておいて、何を言っているのか、という態度で臨むだろう。情けないのは日本である。すぐ隣の朝鮮半島で、南北砲撃戦が起きたというのに、その冷徹非情な国際政治のメカニズムに食い込むことができない。中国提案を飲むかどうかも、アメリカの出方いかんということだろう。日本は国際政治の有力なプレーヤーとはなれないままなのだ。
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