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2010-11-25 00:00
今こそ、日本は「アジア太平洋平和構想」を提唱せよ
吉田 重信
歴史研究者
最近、欧州情勢は、NATOのロシアへ接近の動きもあって、冷戦体制から協調体制へと移行しつつあるようだ。ところが、アジア太平洋情勢には、今回の朝鮮半島情勢の悪化も加わって、1950年代以降の「冷戦体制」の復帰へ向かう動きが加速されている。半島情勢の緊張に加えて、米中間にも緊張が高まっている。また、中ロ間には、かつての「中ソ同盟関係」への復帰が露骨にも喧伝されている。さらに日中と日ロ関係の先行きも全く透明である。かかる情勢において、日本はいかに対応すべきであろうか?
1950年代の「冷戦構造」においては、米国の占領下にあった日本は、米国にただただ追随し、米国が主導したソ連と中国をめぐる「封じ込め」(containment)網の一端を担ぐしか選択はなかった。しかし、今や、日本はかつてと同じく、米国に追随して、新しい「封じ込め」網に加わるべきではないと考える。何故なら、往時と比べ、日本の国力や対外的な影響力は、格段と充実しているからである。ここに、日本が、米国とは離れ、独自の外交を展開できる余地がある。かってのドゴール仏大統領とアデナウアー独首相は、米国と協調しつつも、裏ではしたたに対米独自路線を追求した歴史的事実が想起される。
今後、日本が対米独自路線を追求するための不可欠の条件は、中国との関係をよくし、「同盟関係」に準じるような関係にまで高めることだ。欧州においては、独仏の「歴史的和解」によって、独仏「同盟」が成立したことにより、独仏同盟関係がECの中核となった。また、そのことによって、独仏それぞれが米国に対し自主独立の動きをすることが可能になった。米国がイラクに進攻した際、同じNATO加盟国であったはずの独仏両国政府が、あからさまに米国の政策に反抗することができた「秘密」は、このような「独仏同盟」にあったからに相違ない、と筆者は考える。
日本は、アジア太平洋情勢が新たな「冷戦構造」に復帰するのを防ぐために、新たな「協調体制」を築くべきであり、そのための貢献ができるチャンスが到来していると考える。具体的には、「東アジア不戦条約」や「東アジア非武装地帯構想」もアジェンダに出てこよう。他方、日本の一部政治家や言論人の中には、このような情勢において、「日本は核を含め軍備を増強すべし」と説く者がいるが、かかる言説は、歴史の潮流に逆行するものである。今こそ、日本は、「冷戦構造」に代えて、平和憲法を体現させる「アジア太平洋平和構想」の実現を率先して説くべきときである。
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