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2010-11-16 00:00
菅外交に、国家の恥辱を見た!
花岡 信昭
拓殖大学大学院教授
日本がこれほど国際社会から軽視される存在になってしまったことに、菅首相はどこまで気づいているのか。横浜のAPECで、日中、日ロ首脳会談が実現してしまった。日本政府は大喜びしているが、とんでもない話だ。会談はそれぞれ20分間ほど。中国では「会談」でなく「交談」と称しているという。結論的にいって、この二つの会談はやらないほうがよかった。本来は、中ロの首脳に対し「日本に来られない」状況に追い込むほうが、もっとよかった。来日してしまったら、ものほしげに会談設定にあせる必要はまったくなかった。
中国は尖閣周辺の日本領海で海保巡視船に漁船が体当たりし、ロシアはこともあろうに歴代大統領が避けてきた北方領土訪問をやってのけた直後である。中国側に尖閣の一件をどこまで激しく抗議したのか、明らかにはなっていない。おそらく何も言えなかったのではないか。ロシア大統領は「国内訪問だ」とまたも言い放った。日本はなんとも情けない国に成り下がったものだ。国家としての威信を捨て去ったという意味では、戦後最大級の局面ではなかったか。
APEC議長国を務めながら、参加21カ国・地域のうち、国家意識を欠いた最低の国としての振る舞いをやってしまった。中ロの首脳が来日していながら、日本の首相があえて二国間会談をやらなかったとすれば、このほうが国際社会には「たいした国だ」として称賛される。それが国際標準としての感覚である。中国、ロシアとも日本の領土・領海にずかずかと入り込み、主権を侵害したのである。国家としてこれ以上の恥辱はない。
なんとか波風を立てないようにと腐心する「菅―仙谷体制」はいかにも異様だ。国家リーダーの矜持がまったく見えてこない。なし崩し的に棚上げしてしまうのが得策と思っているのだとすれば(そうに違いないが)、とんでもない間違いだ。外交当局にはそのことがよく分かっているはずだ。だが、「政治主導」のはきちがえによって、外務官僚たちは「菅―仙谷体制」に対し、面従腹背の構えだ。職を賭して諫言する覇気のある外務官僚はいなかったのか。まあ、この政権は長くはないのだから、ここは放っておこうというぐらいの感覚か。そう理解する以外にない。
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