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2010-10-25 00:00
町村氏当選は、菅政権に大きな打撃
花岡 信昭
拓殖大学大学院教授
自民党の町村信孝氏が衆院北海道5区補選で、民主党新人の中前茂之氏を退けた。約3万票の差を付けての勝利だから、まずは完勝だ。
▽衆北海道5区補選開票結果
当選 125636 町村 信孝 自前
94135 中前 茂之 民新
15583 宮内 聡 共新
2697 河村美知子 無新
2325 森山 佳則 諸新
菅首相が民主党代表選を制して、改造内閣を発足させてから初の国政選挙だ。したがって、単なる1選挙区の選挙とはいえない重みがある。民主党の小林千代美氏が北海道教組の違法献金問題で辞職したことを受けての補選だ。前回衆院選で町村氏は、小林氏に小選挙区では敗北、惜敗率によって北海道比例ブロックでの復活当選となっていた。比例代表であっても当選したら同じではないか、と思うのが世間一般の見方だろうが、永田町的感覚はまったく違う。同じ議員バッジでも、小選挙区で勝つのが金バッジだ。小選挙区で負けて復活当選というのは、銀バッジの扱いなのである。比例代表単独は銅バッジということになる。まして町村氏は派閥領袖だ。復活当選組では、なんとも肩身がせまい。そこで、小林氏の辞職にともなう補選で、いったん議員辞職して再挑戦した。
ここでほかの自民候補が出たら、次の衆院選で困ることになる。町村氏は背水の陣で臨んだ。これまでの選挙では、ほかの候補者の応援で全国を飛び回ることが多かったのだが、おそらくは初めての経験といっていい「本格的などぶ板選挙」を展開した。民主党の中前氏茂之氏は、国土交通省出身だ。地域振興の旗も振ることができるわけで、町村氏にとって負けられない強敵といえた。かつてなら、町村氏にとっては勝って当たり前の選挙だが、政権交代以後は事情が異なる。
この結果に、自民党側はほっとしている。派閥領袖がもし敗北していたら、これまた大変な騒ぎになったに違いない。伝統派閥・福田派の跡目争いが展開されることになってしまう。3万票の差がついたということは、菅政権にとっては打撃であるに違いない。民主党議席だったのが、不祥事によって自民党に奪還されたのだ。おそらく仙谷官房長官などは「単なる一地方の選挙」として、ことさら矮小化させる方針に出るだろうが、内心は「民主党びいきの潮目が変わったか」と冷や汗ものだろう。この補選の結果は、想像以上に大きな意味合いを持つかもしれない。
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