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2010-10-23 00:00
(連載)日中両国の対応は、このままでは両敗具傷(3)
李 鋼哲
大学教授
今春に起こった南北朝鮮間での天安艦事件をめぐる対立構図を見ると分かるように、冷戦時代の「二つの鉄の三角」が再現されたかのような国際関係が、そこにある。残念ながら東北アジア地域では冷戦が終わっていないのである。日本で20年間暮らした筆者が、日本で見ても、韓国や中国で見ても、それを強く感じざるを得ない。中国に行くと、ホテルのテレビで毎日必ず抗日戦争の映画を見ることができ、いやな気持ちになる。韓国に行くと、必ず竹島(独島)問題を取り上げる人がいて「日本は歴史を反省していない」と言う人がいる。植民地にされた経験がある韓国人のその気持ちは、理解できなくもないが、どこか今の時代にそぐわない気がする。
日本はどうなのか。昨年に発足した鳩山政権は、自民党路線から一歩踏み出し、「東アジア共同体」構築を目指すとし、さらに「日米関係の見直し」を主張した。しかし、普天間基地の海外や県外への移設は実現するはずもなく、やがて政権の座から下ろされた。それにはアメリカの影が見え隠れしている。日本がアメリカとの距離を置いて、東アジア諸国が固まることは、アメリカの国益に反すると見ているから、アメリカが妨害するのは予想できたことだ。
その後任の同じ民主党の菅直人政権の外交を見ると、非常に曖昧で、実際やっていることを見ると、自民党時代に戻ってしまったと思わざるを得ない。自民党の強硬派と同じ考え方を持っている人を外務大臣に任命したからなおさらだ。戦後60年の自民党路線をくつ返すために政権をとったはずの民主党だが、結局対外路線では自民党となにも変わらないのではないか。経済的に中国に追い抜かれることになると、恐れを感じて自信喪失になった勢力は、さらにアメリカへの追従を選択せざるを得なくなったのだと見受けられる。
結論を述べると、領土問題や領海問題は、現時点では解決方法がないのである。関係各国の為政者の賢明な選択は、現状維持またはトラブル防止のための装置を相互に講ずることである。政治家たちが領土主張の主張を繰り返しても、本当の国益にはならない。隣国との関係を緊張化させることは、国民にとっては迷惑なことではないか。将来的な唯一の解決方法としては、前途多難かも知れないが、EUのような共同体を目指すことである。「共同体」や「連合」になったら、国家主権は限りなく弱まるので、領土問題も、主権問題としての意味が次第に薄れるか、なくなってしまうだろう。(おわり)
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