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2010-10-22 00:00
FTAとその政治利用の危険性
四条 秀雄
不動産業
FTA(自由貿易協定)というのは、比較優位のメリットを国内経済の範囲を超えて機能させるというのが目的だと思います。ただし、これが有効に機能するためには、その広がった範囲の国家間で政治的調整機能が平等に働くという条件が必要だと思います。例えば、今回の中国によるレアメタルの供給制限のようなことが恣意的に行われると、国境を越える自由化というのは意味を失います。それは、本来比較優位に基づいて供給力を高め、所得を引き上げるはずのFTAを無視し、逆行するものだからです。
自由化というのは、実際には、政治的支配の問題が核心にあって、それ次第では、食料、エネルギーやレアメタルのような戦略資源を強者が政治利用する範囲を広げる口実にされかねません。私は、FTAを結ぶ諸国がそのことを十分に理解しているのか、疑問に思っています。FTAを進める場合には、相手国が将来においても政治的に公正な姿勢を保ってくれるのかどうか、そういうことも考慮する必要があると思います。
先発するアジア新興国(ASEAN諸国等)は、資本移動の自由を認めた結果、経済の変動が激しくなり、アジア経済危機を経験しましたが、他方で、後発の新興国(中国)は、自由化をコントロールし、強大な経済に変容して、いまやその経済力を背景に政治的な影響力を行使しようとしています。われわれは、まだ自由化を無批判に信仰すべきなのでしょうか?
民主党政権は、環太平洋パートナーシップ(TPP)に参加しようとしていますが、それは間違いです。世界経済はドル過剰から恒常的なバブルの時代に入っています。そこでは自由化した国々が絶え間ない変動にさらされ、主として新興国において熱狂に浮かれた供給過剰と破裂後の不況が常態化しています。今は、この影響から国内経済を隔離することが重要であり、さらなる自由化は自殺に等しい。対外的には何もしないこと、国内の雇用の確保に努めることが、一番正しいと思います。自由化をしたところで、貿易は伸びないし、紛争を招くだけです。自由化は、ジニ係数などの格差や不平等度の状態と比較検討しながら進めるべきで、産業界の意見などを聞く必要はありません。国家と企業は別物です。
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