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2010-10-20 00:00
北方領土問題についてロシアの不当を世界に訴えよ
池辺 晃
調査員
北方領土に対する実効支配を強めるロシアの動きが加速している。7月2日の択捉島でのロシア軍の軍事演習からはじまり、議会連邦院で9月2日を「第2次大戦終結記念日」と制定した。9月27日にはメドベージェフ大統領が中国の胡錦濤国家主席との間で「第2次大戦終結65周年を記念する共同声明」を発表、さらにメドベージェフ大統領による「北方領土訪問」の意向まで示されている。これら一連の動きは、北方領土占拠を正当化するための行為であり、日本はもっと断固とした抗議をする必要があるのではないだろうか。
1885年に日ロ間で初めて国境を定めた「日露通好条約」において両国の国境を択捉島とウルップ島の間に引く事で合意して以来、北方領土は一貫して日本固有の領土である。それにも関わらず、ソ連は65年前に、当時まだ有効であった日ソ中立条約を破棄して、日本に宣戦布告し、日本が連合国側と降伏文書に署名した後も侵攻を継続して、9月5日に北方領土全島を占領したものである。
ロシアが日本の降伏文書署名日である9月2日を「第2次大戦終結記念日」と制定したことは、まさにこうしたソ連の不法行為を覆い隠し、連合国側の一員である「第二次大戦の勝利者」としての立場を確保しようとしているためとみられる。であるとすれば、日本はもっとロシアに抗議して、国際社会に自国の立場を主張すべきである。日本は、自由と人権などの普遍的価値を整えた民主主義国であり、世界第3位の経済大国でもある。
そのような国家が、自国への不法な行為に適切な異議も表明できないようであれば、世界中からもの笑いの種にされるであろう。今後もこうした事態が続くようであれば、日本は国際社会の責任ある国家として存続できなくなってしまうのではないだろうか。北方領土の問題は、日本の存在価値をかけて取り組むべき問題であり、その対処方針において、一時の利益や国内政争によって左右されるようなことがあってはならない。日本政府のより厳格な対応が求められる。
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