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2010-10-13 00:00
やはり若林洋介さんの議論には無理がある
諏訪 辰雄
大学教授
この政策掲示板で、ここ数日来、若林洋介さんと高橋秀哉さんが、尖閣問題に対する我が国の対応をめぐって論戦を繰り広げておられますが、そのやりとりを拝見し、感想を述べてみたいと思います。結論からいえば、どうしても高橋さん(お若いですが、なかなか骨太の信念の持ち主とお見受けしました)のご意見に軍配を上げざるを得ません。
気になるのは、若林さんに国際問題の基礎的知識が欠けているのではないか、と思われることです。若林さんは「もしも1972年の日中共同宣言の時点で、田中角栄首相が、尖閣諸島の領有権問題を主張し、国境線の公式の確定にこだわり続けていたなら、1978年の平和友好条約の締結も不可能であったろう」と述べておられますが、日中は「棚上げ」で合意したのではありません。日本が実効支配している状況で中国が平和条約に署名したということは、中国が「とりあえず尖閣を日本領と認めて、異論を述べない」と言ったということです。これは、ロシアの北方領土実効支配を認めて、日本がロシアと平和条約を結べば、条約外でいくら日本が「いずれ返還を求める」と言ってみても、それは犬の遠吠えにすぎず、もはや北方領土は「ロシアのもの」で国際法的には決着してしまうのと同じことです。だから、日本側は「中国との間に領土問題は存在しない」と言っているのです。
しきりに民主党の松下政経塾卒業者たちを国権主義者であるとして批判し、田中・大平、福田・園田などの「先人の政治家達の知恵」に学べ、と力説しておられますが、これも国際問題の基礎的知識の欠如を露呈しています。民主党の政治家達はなにも「先人の政治家達」と違ったことを言っているわけではないからです。先人達が「尖閣諸島の領有権問題に関して、対中強硬策(中国側の領有権放棄の確認)を取らなかった」のは、そんな確認を取る必要はなかったからであり、現在の民主党の政治家達もそんな確認を取ろうとしてはいません。中国と中国人船長が日本の実効支配に挑戦してきたので、「それは許さない」と言っているにすぎません。先人の知恵に学ぶべきなのは、現在の中国の政治家達であって、日本の政治家達ではありません。
今日の中国は「もはや棚上げはやめた」、「尖閣は中国領と認めよ」と言ってきているのです。そのようなときに、日本が「いや、違う」と言わなければ、そして日本の領海、領土に対する中国の侵犯行為に抗議も、抵抗もしなければ、その先はどうなるのですか。日中経済関係だけは発展するのですか。かりに百歩譲って、発展するとしても、それは現代版「朝貢貿易」にならないとどうして言えるのですか。その背後には中国共産党を現代の皇帝とする新しい「冊封体制」が姿を現すことでしょう。そこまで、見通さずに、「中国の言うとおりにしていれば、万事うまくゆく」と言われても、日本国民は納得しません。
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