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2010-10-11 00:00
政府は日銀の金融緩和に呼応せよ
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
奇を衒うのが良い訳ではない。王道というのは、いたづらに右顧左眄せず、着々と信ずるところを行うことだ。それは、少なくとも東洋文明圏においては、古今東西の真理だ。だが、マーケットとか、海外の世評みたいな話になってくると、余り君子然としている訳にもゆかないのではないか。少しは演出とか、観客の目の映り具合などに、気配りをする必要も出てくるように思う。
持って回ったものの言い方で、一体何がいいたいのか、といぶかしくお思いの読者も多かろう。景気回復とデフレ脱却に向けての日本の政策メッセージの話だ。日銀にしては希有のことだと思うのだが、予想を遥かに上回ったダイナミックな金融緩和策を打ち出した。ゼロ金利と、禁じ手すれすれの債券・株式市場への5兆円投入である。しかし、これはいわばカンフル注射で、効果の持続性が期待できるものではない。これと呼応した実体経済面での施策がなければいけない。
これほど(日銀としては)ドラマティックな対策を打ったのなら、同じく大向こう向きの経済施策がシンクロすれば効果は幾何級数的に増えようというものではないか。何よりも、中央銀行と政府が共同して不況脱出に向けて描いた一大シナリオというのは、素敵な画になるではありませんか。マーケットに対しても訴求するパンチが違うと思うのだが。政府が無策だと断ずるのにはまだ早いが、野田財務大臣の記者会見を聞いている限り、山っ気のかけらも感じられなかった。この機会を捉えて政府の本気さ加減を演出する気など、さらさらおありにならないようだ。
大向こうの受け狙いが病的に好きだった前の政権とは大違いだ。法人税減税だ、保育所大増設(少子化対策)だ、それに伴う要員手配(雇用対策)だというのは、予算審議が必要だから「口先介入」に留めるにしても「不退転の決意でFTA早期締結に向けて進む」位のことはいえたのではないか。何よりも、各省庁が後生大事に抱え込んでいる参入規制的、既得権益温存的、需要抑制的な規制の数々を、気がつくものだけで良いから、全廃する位のことは、今日にでも出来るだろう。あの日銀が清水から飛んだ。政府が何もしないのでは、政治主導もあったものではない。
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