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2010-10-08 00:00
「補正」と「小沢」の切離しで分断された野党
杉浦 正章
政治評論家
首相・菅直人の憶面もない公明党への秋波に、公明党も物欲しげになびいて、2010年度補正予算案成立のめどが付きそうである。菅は事実上、野党分断に成功しつつある状況である。それにもかかわらず自民党は「小沢一郎の証人喚問に賛成しなければ、補正審議に応じない」などという現実にそぐわない戦法を採ろうとしている。もう小沢問題の主戦場は裁判の場に移ったことを認識せず、またまた方向音痴ぶりを露呈している。
検察審議会の起訴議決にもかかわらず、小沢は離党も、辞職もしない意向を表明して、菅と幹事長・岡田克也の対応に耳目が集中したが、このむなしさすら感ずる小沢の開き直りに対して、尖閣でも「逃げの直人」に徹してきた菅は「対応は幹事長が検討」と三十六計逃げるにしかずだ。みんなの党代表の渡辺喜美が「菅さんは自分の本で『首相は党首だ。自党の議員が疑惑を持たれたら、党首として何らかの措置を執るべきだ』と書いているではないか」と歯ぎしりしても、カエルの面に何とやらくらいにしか感じていまい。自民党幹事長・石原伸晃が「有言実行なんて、ちゃんちゃらおかしい」と毒づいても、馬耳東風にみえる。岡田は岡田で小沢問題先送りの姿勢だ。国会招致をやるにしても、せいぜい参考人招致か政治倫理審査会への出席だろう。
こうした政権首脳の姿勢には「景気対策と小沢問題をはかりにかければ、公明党は補正に傾く」と言う読みがある。一刻も早い景気対策が必要なときに、小沢問題などに関わり合っているときか、という同党の本音を読み取っているのだ。公明党は小沢証人喚問に賛成しているが、これは民主党の反対で実現しないと踏んで、付き合っているにすぎないのだろう。もちろん将来の政権復帰を意識している。だから菅は、10月7日の本会議で「公明党の経済対策は政府案と軌を一にしている。提案を参考にしつつ経済対策を取りまとめる」と露骨に擦り寄って見せたり、先に創価学会の美術館を訪れたりしたのだ。マスコミも8日付の朝日新聞の社説のように「野党も小沢氏喚問を国会の駆引きの道具にしてはいけない。政治とカネの問題は必要があれば、法案審議と切り離して、別の舞台で徹底的に議論すればいい」と、政権に追い風となる論調を掲げるようになっている。こうした「小沢、補正切り離し論」は、国会が小沢問題で混乱すれば、必ずマスコミの論調の主流となるだろう。テレビのコメンテーターが得々と受け売りする姿が、今から目に浮かぶ。
野党は、社民党が補正予算に賛成する方向となり、補正は民主党、国民新党、社民党に加えて公明党が賛成に回り、このままでは野党は確実に分断される流れとなってきた。繰り返すが、小沢問題は検察審の議決により、司法の場に主戦場を移したのだ。自民党幹部のように「証人喚問に応じなければ、補正の審議に応じない」などと言って、メディアの気を引こうとしても、無理がある。自民党は証人喚問での審議拒否などとてもできる状況ではあるまい。むしろ賛否はともかく、補正の審議促進には応じて、その審議の過程で「逃げの直人」「卑怯な民主」「政治とカネに自浄能力のない民主」の姿を鮮明に浮き上がらすのが正しい。
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