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2010-10-04 00:00
政権担当の習熟期間はいつまで許されるか
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
「政権与党らしくなるまでに、しばらくの習熟期間は必要だろう。大目に見てもよい」と考えた向きがおおかただったように思う。それにしても、余りといえば余りの首相のコトバの軽さというか、政治的人格のいいかげんさに、「とてもこれはやってられません」という国民の声が、天に通じたのか、首相交代。そこで人気もV字型反騰となる筈だったのが、軽はずみに前言を翻したものだから参議院が「ねじれ」た。大急ぎでこの一年余りを総括すると、そういうことになるだろう。それにしても、「習熟期間をどれほど見たら良いか」という問いかけは、依然として残る。
なまじ鳩の糞害に悩まされた破滅的な9ヶ月があったから、「今度の人はまだ4ヶ月足らずだよ」といわれても、すんなりその気にはなれない。そこへもってきて中国漁船船長問題だから、「こんなのにクニを任せておいて、大丈夫かい」ということになる。もう少し時間をあげたい様な、「そうも言ってられないよ」みたいな、どうも落ち着きの悪い感じでいるのが、一般の国民ではないか。野党も、それこそ「建設的な熟議で政界再編成に向けて着実にやってゆこう」という気分と、「いや、この分では揚げ足取りをやりながら自滅を待てば、意外に早いんじゃないか」という観測が、入り乱れて、腰がいまいち定まらないということではなかろうか。
そんな思い入れをよそに、国内景気も、円高も、まして破滅的な財政は、様子見で一服してはくれない。為替介入のように短期ワンショットという代物ではない。換言すれば、根本的、かつ長期の取り組みが必要な場面なだけに、これはほとほと悩ましいことになっている。即効薬がないことは、さすがに共通認識だろうから、ここは「信なくば、立たず」でゆくしかあるまい。「この政権は真剣だ。真面目にやっている。方向性は正しい」と、まずはまず国民に思わせることから始めなくてはならない。どうすれば国民がそう思うか。一つでも良いから、具体的に何かをして、「なるほど変わったね」と実感させるほかはない。それも事業仕分けでいくらひねり出した、雇用ナントカを期間延長する、というたぐいの話ではなく、保育所の待機が一掃されたとか、法人税が今期から下がるとか、私立大学の補助金を全廃するといったレベルの話でなくてはならない。
つまり波及効果が目に見えて大きい話に限る。ということは、真剣に検討する価値があるということだ。やれ「雇用だ」「保育だ」「介護だ」「環境だ」なんていう、総論のきれいごとに留っていたのでは、誰も本気だとは思わない。仮に本気であるにしても、本気なだけで、知恵がない。そのことをコトバでごまかしている。そうとしか思われない。そうではない処方箋をどう示せるか。これは同時に、習熟期間の長さに対する回答にもなっているところがうまい、と思うのだが。
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