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2010-09-17 00:00
正念場を迎えた「タリバーン岡田」
杉浦 正章
政治評論家
堅物で原理主義者の別称「タリバーン」が幹事長になった。岡田克也3度目の幹事長登場である。下手に裏芸がきく政治家より、謹厳実直・誠心誠意派の方が、複雑に入り組んだ難局を乗り切るにはいいかもしれない。しかし筋論だけで乗り切れるかだが、国対委員長にベテラン鉢呂吉雄を置いたのがミソだ。表は岡田、裏は鉢呂の体制だ。いずれにしても幹事長職としては、戦後まれに見る難局への対応を余儀なくされる。とにかく、伊勢エビを贈られて送り返したというエピソードが象徴するように、金銭には徹底的な潔癖さと言ってよい。宿舎までタクシーに相乗りした記者達に「4人だから一人240円。ハイ」と小銭入れから出して、渡した話もある。無菌培養的で、融通が利かないとされているが、筋は通っている。
1997年に小沢が独断で新進党を解党した際、両院議員総会で「納得いかない」と決別して以来、反小沢あるいは非小沢を貫いてきた。白眉は先の「起訴される可能性のある方が代表あるいは総理となることについて、違和感を感じる」発言だ。これで小沢とは決定的になった。菅の意中には最初から「岡田幹事長」があったと見る。中間派の川端達夫は、失礼ながらタマが小さすぎて、超激動期の幹事長にはマッチしないと思っていた。「川端幹事長」と書いた新聞は、言い訳け上「幹事長人事迷走」のストーリーを仕立てるが、菅は一言も川端とは言っていない。周辺情報だけだ。代表本人から話がないのに川端も受けるわけにもいくまい。なぜ岡田かと言えば、代表選挙の当選基盤が世論も党内的にも「反小沢」であり、菅としてみれば「毒を食らわば皿まで」の吹っ切れた対応しか選択の余地がなかったともいえる。
岡田は一瞬渋ったが結局「天命だ」と受けた。意味するところは、幹事長受諾とポスト菅の「首相レース」が「天命」のように直結していることだ。受けなければ「逃げた」と受け取られ、レースから外れることになる。受けざるを得ないから、「天命」なのだ。これで「脱小沢」は継続の形となったが、閣僚人事などでいかに融和を試みても、小沢対反小沢の党内対立の構図は出来上がったと言える。小沢陣営は当面荒っぽい動きを差し控え、お手並み拝見の姿勢だろう。しかし岡田が持ち前の硬直路線で突っ走れば、来年度予算をめぐって3月には政権の危機が到来する可能性も否定できない。予算編成の年末から年度末にかけて、小沢の「党内野党」は抗争の牙をむき出しにするだろう。
しかし、小沢サイドも「政治とカネ」の弱みは継続する。野党が証人喚問などで小沢の国会招致を要求することは確実であり、岡田・鉢呂コンビががこれに応ずる可能性も否定できない。もっと言えば、10月に小沢の強制起訴が確定すれば、野党は小沢の「議員辞職」、党内は「離党勧告」が最大の焦点となる。岡田なら「離党勧告」くらいしかねないが、これには菅も慌てるだろう。小沢の離党問題は党分裂に直結するからだ。今後野党、とりわけ自民党は、再編、解散・総選挙も視野に入れた攻勢に出るだろうが、岡田が“妥協”の動きを見せられるかが焦点だ。国会は筋論だけでは絶対に前に進まない。臨時国会における補正予算案で国民本位の妥協ができれば、通常国会への展望が開ける。それには小沢グループをいかにして抑えられるかという幹事長の力量がかかっている。菅と抱き合い心中になるか、それとも展望を開いて名実ともにポスト菅の最右翼に躍り出られるか、タリバーンは正念場だ。
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