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2010-08-27 00:00
政界大連立含みの流動性も:小沢立候補
杉浦 正章
政治評論家
「政治とカネ」で3か月前に辞任した鳩山由紀夫と小沢一郎が、今度は手を組んで政権を目指す構図を「破廉恥」と呼ばずにに何と呼ぶのか。民主党代表選は「脱小沢」対「親小沢」の戦いになるが、政治の本質論から言えば、「小沢首相」を認めるかどうかの戦いである。そして「小沢首相」が実現してもしなくても、政界は再編含みの流動性を帯びることになる。小沢が敗れて離党すれば、再編の目となるという見方があるが、強制起訴の可能性がある負け犬と組む政党はない。むしろ消費税をテーマにした民主・自民の大連立を視野に展開する可能性の方が大きい。
憶面もなく鳩山が、小沢支持を「応援するのが大義だ」と述べた。「大義」とは、人がふみ行うべき重大な道議であり、とりわけ国に対してなすべき道だが、果たして鳩山は「大義」をふんでいるのだろうか。かって吉田茂が田中角栄を「刑務所の塀の上を歩いているような男だ」と評したが、嫌疑不十分の不起訴が物語るものは、刑務所の塀の上でよろめいている小沢の姿ではないか。「疑わしきは罰せず」の「疑わしき」が首相になることが、「大義」と言えるか。おまけに鳩山は、「政治とカネ」の責任を取ってダブル辞任した相手である。自分で勝手に作った「大義」に酔い、支持候補を菅直人から小沢に乗り換える。この人間は「政治家失格」というより「人間失格」としか言いようがない。
その田中も、ロッキード事件で逮捕された後は、勢力拡大こそ図ったが、「首相への復権」はさすがに考えなかった。田中は意外なほど「政治の神聖さ」を意識した政治家であった。その弟子と称する小沢が首相を目指して立候補だ。自民党政権下でも強制起訴で刑事被告人になり得る人物が総裁選に立候補した例を知らない。国民の喝采を受けて成立した民主党政権内でそれが行なわれようとしている。小沢周辺は「たとえ支持率3%のスタートでもいい」とがむしゃらに政権を目指しているというが、朝日新聞の8月27日付社説ではないが「あいた口がふさがらない」。3年で3人の首相を取り換えたと自民党を批判する政党が、1年間で3人の首相を取り換えて、口をぬぐえるのか。
小沢支持グループの意気高揚に反比例して、世論は冷め切っており、むしろ敵に回りつつあることが分かっていない。世論を敵に回しての戦いがどのようなものになるかを、これから思い知ることになる。小沢の前途は「進むも地獄、退くも地獄」でしかない。だいいち「小沢首相」が実現しても予算が組めない。小沢は「政権を取れば財源はなんぼでも出てくる」と述べているが、脳天気もいいところだ。マニフェスト完全実施は不可能なことが、政権担当1年で立証されている。自民党は「小沢首相」の実現を祈るような気持ちで期待している。すぐ解散に追い込めるからだ。
小沢が負けた場合はどうなるか。離党すれば、やり手の小沢が政界をかき回して新たな再編を行うという見方が永田町を駆け巡っているが、果たしてそうか。自民党も公明党も小沢の証人喚問を要求しており、いわば主敵だ。その小沢と組んで政権を目指すことはまずあり得ない。むしろ小沢の離党で、クリーンになった過半数割れ民主党と組む流れの方が、強まると思う。国民の期待も大きい大連立だ。消費税を否定する小沢は連立の目となりにくい。むしろ消費税に前向きな菅との大連立が俎上(そじょう)に登るだろう。こうした中で小沢周辺には総理大臣と党代表を別人が担う「総・代分離論」がささやかれているという。自民党でもかって「総・総分離論」があったが実現していない。本心は首相になりたくない小沢の意向を忖度(そんたく)しての秘策のようだ。しかし姑息(こそく)な手段を講じて妥協を図れば、ますます民意は離反することを肝に銘じておくとよい。
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