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2010-08-11 00:00
WikiLeaks による『アフガニスタン戦争日記』暴露の衝撃
川上 高司
拓殖大学教授
WikiLeaks(ネット)が さる7月25日に、9万2千点から成るアフガニスタン戦争に関する機密文書『アフガニスタン戦争日記(Afghan War Diary, 2004-2010)』を暴露、掲載した。しかも、その発表にあわせ New York Times(米)、Guardian(英)、Spiegel(独)各紙の電子版も解説記事を掲載したために、それはメガトン級の衝撃をホワイトハウスに与えている。
New York Times 誌では、パキスタンがアメリカからの支援を受ける一方で、アフガン・タリバンを支援して、ISAFへの攻撃をバックアップしていることを取り上げ、アメリカ政府のアフガン政策に疑問を投げかけた。The Guardian 誌や Spiegel 誌は、タスクフォース373というアフガンにおける暗殺部隊(暗殺対象はタリバンやアルカイダのメンバー)の活動をとりあげ、その非合法性や非人道性に着目、またこれまで隠されてきた市民の犠牲に焦点を当てて、この戦争の惨状を浮き彫りにした。
ホワイトハウスは「これらの機密文書は『過去のもの』で、現在とは状況が異なる」と否定に必死。だが『アフガニスタン戦争日記』から逆に浮き上がってくるのは、巨額の資金と人員と9年の年月をかけてもなおアフガニスタンが復興できない現実と、その理由を米政府が正しく把握しているという事実だ。ケリー・上院外交委員会委員長が「非合法的なリークではあるが、我が国のアフガン・パキスタン政策に一石を投じた」と述べたように、泥沼化するアフガン戦争への国民の支持が一層離れていけば、政府の関与のあり方が大きく問われ、オバマ政権の外交政策への影響は重大となろう。
ベトナム戦争の最中、ダニエル・エルスバーグは、この戦争に関するペンタゴンの機密文書を暴露して、戦争の実態が政府の公表と大きく異なることを明らかにし、アメリカがベトナムで勝利できない現実を突きつけた。この暴露がきっかけで、反戦運動が高まり、アメリカのベトナム政策転換の契機が作られたともいわれている。この暴露は、当時「ペンタゴン・ペーパーズ」と呼ばれ、アメリカの歴史の中で語り継がれてきた。その21世紀版とも言われているのが、今回の WikiLeaks の『アフガニスタン戦争日記』である。このサイトは、アメリカ政府に都合の悪い事実を以前から掲載し、話題となっていたが、今回の暴露(Leaks)は衝撃的であった。『ペンタゴン・ペーパーズ』は、あくまでもアメリカ国内の問題だった。しかし、今回の『アフガニスタン戦争日記』の暴露は、アメリカだけの問題ではなく、グローバルな問題となった。これからのオバマ大統領の舵取りに、世界は注目している。
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