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2010-08-09 00:00
米ロ接近が世界に及ぼす影響
岡崎研究所
シンクタンク
6月7日付け『The National Interest』誌で、同誌編集主任で米海軍大学教授の Nikolas K. Gvosdev が、7月初旬のクリントン長官のグルジア、ウクライナ、アルメニア、アゼルバイジャン、ポーランド歴訪について論評しています。それによると「オバマ政権は、ロシア周辺諸国に対してブッシュ時代のような拡張政策はとらないが、支援は維持して、これらの国がロシアからの独立性を守るのを支える政策をとろうとしている。オバマ政権はこれまでも、米ロ首脳会談のあとはバイデン副大統領等をロシア周辺諸国に送り、これらの国が米ロ関係改善に猜疑心を持たないよう慰撫してきたが、今回は、バイデンがイラク問題で忙しいため、クリントンにその役割が回ってきたのだ」と言っています。
オバマ政権は発足当初から、ブッシュ時代のような拡張政策(民主主義と市場経済の性急な押しつけ、NATOの拡張)は取らないことを明らかにしており、また、先日のスパイ事件でロシア側が報復せずに「スパイ」交換で手打ちをしたことは、メドベジェフ大統領も対米関係改善にコミットしていることを示しています。もっとも、リセット政策で米ロの方針が完全に一致することはないでしょう。ロシアが米国にあまりに癒着すれば、軍や諜報機関等のロシアのエスタブリッシュメントの存在意義が大きく失われてしまうからです。また、2012年の大統領選挙でプーチンが返り咲けば、ロシア側の政策が変わる可能性があります。
それでも、このリセット政策は以下の影響を世界に及ぼすことになるでしょう。すなわち、(1)NATOの存在意義がますます問われることになる。ただNATOに加盟しているバルト諸国や東欧諸国にとってはロシアの脅威は現実のものなので、NATOが崩壊することはない。(2)米ロ関係改善が進んでいる中で、中国は米国の台湾への兵器供与以来、米国への固い態度を崩さず、世界の中で中国がやや浮き上がった存在に見え始めている、(3)ロシアは極東における対中バランスを改善する必要をますます感じる一方、米国もメキシコ湾の原油流出事件もあって、ロシア極東・シベリア開発に関心を示すようになるだろう。
そうした中で、日本の対ロ関係については、次のことが言えるでしょう。すなわち、アジアにおけるロシアのプレゼンス強化を、米国が政治・経済両面において後押ししてくるようになれば、「アジアへのロシアの参入」を日本が認めてやるかどうかを、北方領土問題解決促進のカードとすることは難しくなります。また、普天間問題で米国に借りを作っている今、日本はこの面でも米国を頼りにはしにくいでしょう。
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