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2010-08-04 00:00
民主代表選は、管対「反菅・小沢代理」戦争の様相
杉浦 正章
政治評論家
代表選挙に向けて民主党内の鼎(かなえ)が煮えたぎってきた。複雑な動きを整理すると、小沢一郎が影で糸を操り「反菅代理戦争」を展開してゆく流れが見えてくる。その中核は、小沢側近で前国対委員長の山岡賢次らが作る「09マニフェストの原点に返り『国民の生活を守る』集い」だ。反菅の牙城になりそうだ。焦点は事実上手を挙げた海江田万里に候補を絞りきれるかどうかだろう。
前首相・鳩山由紀夫の政治家としての力量を改めて問うのは、文章の無駄だが、「どうなっているの」と問いたいのは、そのグループ内のうごめきだ。鳩山自身が菅支持を表明したにもかかわらず、立候補に向けて手を挙げかかっている候補が3人もいる。海江田万里が旧社会党系も含めた会合を開けば、環境相・小沢鋭仁が勉強会を発足、国対委員長・樽床伸二も近く自らを会長とするグループを発足させる。50人のグループで3人も候補が出かねない情勢だ。おまけに反菅の牙城の「集い」に側近の平野博文を参加させている。
この中でトップを走っているのが、小沢とも近い海江田だろう。小沢のアドバイスもあってか、狙い所も急所を突いている。「小沢・鳩山・旧社会党」連合を目指しているからだ。会合の場所も、旧社会党系の衆院議長・横路孝弘が議長公邸を提供している。「小・鳩・社」連合となれば合計240人となり、民主党の国会議員413人の過半数を軽く突破できる。もっとも民主党のグループほど、数があてにならないものはない。結束が緩やかで、世論の動向などに動かされやすいからだ。加えて、旧民社党系も独自候補の擁立を決めた。こうした候補らに小沢はどういう方針で臨んでいるかと言えば、反菅なら全員に対して当面支援しそうなそぶりを見せている。各候補の会合にそれぞれ議員らを参加させ、“けしかけ”ているのだ。明かに小沢自身は立候補しないで、反菅代理戦争を目指しているのである。
そして、一番ぎらつく動きが、冒頭挙げた山岡らによる「集い」だ。旗印は「マニフェスト死守」だ。菅が脱マニフェストの現実路線を走ろうとしているのに対して、消費税増税に否定的方向性の強いマニフェスト回帰を訴え、設立趣意書で「民主党は、このままでは次の総選挙で政権を失う」と危機感を強調する戦術だ。路線論争を「マニフェスト死守派」対「現実路線派」の戦いに絞ろうとしているわけだが、この戦術もうまいやりかただ。8月6日の会合の動向が注目されるところだ。こうした情勢から代表選候補は菅一人だけという状況ではなくなりつつあり、複数候補が立つ形にならざるを得まい。問題は、小沢が反菅で候補を一本化できるかどうかだ。一本化出来ればいい勝負になるだろうが、候補者乱立では票の分散で菅が有利となる。
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