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2010-08-02 00:00
民主代表選、菅再選軸に展開へ
杉浦 正章
政治評論家
鳩山・小沢の連袂(れんぺい)辞職を半年前の正月に言い当てた“重圧”が、筆者を「1か月半後の民主党代表選を読め」と攻め立てる。まだどこも書いていないのにである。しかし、「早見え」が習い性であるから、困るのだ。おまけに人が良いと来ているから、ついつい言ってしまうのだ。だから、言ってしまおう。方向は「民主代表選、菅再選軸に展開へ」だ。理由は、直感だが、理屈は後から貨車で来る。これが政局の読み方の本筋でもある。「はは~ん、小沢という男はこういう発想をするのか」という話が、8月1日付日経の元首相・森喜朗とのインタビューに出ている。2007年の大連立騒動の際、小沢が森に「おれはいま、マジックが効いていて、民主党内から選挙の神様といわれている。いまなら党内はおれの言うことを聞く。マジックが切れたら、みんなおれに反抗するから、話を急ごう」と述べたというのだ。さすがに小沢は、自分自身を客観的に見られる眼を持っている。ということは、現段階の自分自身も読み切っている、と言うことだろう。
どう読み切っているかというと「おれはいま、マジックが切れて、党内から選挙の貧乏神といわれている。いまはもう党内は、おれの言うことを聞かない。おれに反抗するから、立候補はよそう」であろう。笑ってはいけない、これが政局の読みの基本なのだ。長老渡部恒三は、力はないが、政局の読みは確かだ。渡部はTBS番組で「小沢君にかつて『こそこそやるより、堂々と立候補せよ』と言ったが、今は違う。立候補できない要件があるようなので、あまり言っては、かわいそうだ」と述べたのだ。いうまでもなく渡部は、第5検察審査会が代表選後に議決し、強制起訴になった場合の大混乱を想定している。筆者が書いたとおり、小沢が代表選に勝てば、首相になってしまい、その首相が起訴相当となれば、憲法上刑事訴追は受けないにしても、民主党は内閣総辞職か、解散を迫られる。308議席が50議席に転落するのである。
この政局のくびきを小沢が抜けるのは、不可能に近い。だから渡部も、同席した武村正義も「小沢君は出る気ない。出られる状況ではない」という判断で一致したのだ。それでは政局はどう展開するかだが、両院議員総会は、小沢系の“陣笠”の発言だけで、ガス抜きして、乗り切った。今日からの予算委員会は連日菅がぼこぼこにされる運命にある。消費税増税、政治とカネ、参院選に負けた政権の正統性、マニフェストと予算編成などテーマに事欠かない。ここでよほどの致命的失言をすれば別だが、4日間我慢すればいいのだから、時間切れで乗り切るだろう。そうすると政局は代表選一色となる。
小沢グループは、海江田万里が近く党所属の国会議員に呼びかけて、勉強会を開くし、先の代表選挙に立候補した国対委員長・樽床伸二も、近くグループの会合を開く。しかし選挙戦は菅が先行している。支持表明は渡部、鳩山由紀夫、岡田克也、前原誠司らが行っており、野田佳彦のグループも支持の方向だ。参院選後「小沢に会いたい」と言っていた菅も、「会いたい」と言わなくなった。自信が出て来たのであろう。予算委でよほどの大ポカ発言でもしない限り、菅優位のまま推移するだろう。複数立候補なら、菅が必勝だろう。問題は、小沢陣営が海江田に絞った場合だ。小沢と鳩山両グループに小沢と良好な旧社会党グループが同調すれば、いい勝負になるかも知れないが、菅が抜けるのではないか。辛勝の場合や小沢サイドが一定の勢力を確保した場合、菅は小沢勢力を無視できず、幹事長・枝野幸男を更迭せざるを得なくなる可能性が大きい。
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