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2010-08-01 00:00
今次のARF外相級会合の2つの注目点
石垣 泰司
アジアアフリカ法律諮問委員会委員
7月23日ハノイで東アジア地域の政治・安全保障に深い関心をもつASEAN+3、米露、北朝鮮など26カ国とEUの外相級代表が出席するASEAN地域フォーラム(ARF)が開催された。今後の東アジアにおける安全保障環境の形成および展開を考える上で、いくつかの重要な動きがみられた会議であった。2年振りにARFに出席した北朝鮮の朴宜春外相は、今次会議開催の数日前から現地に到着し、北朝鮮による韓国哨戒艦沈没事件に関連し、この問題が自国にとって最も有利な形で取り上げられるように、また制裁解除による6者協議の再開を狙って、懸命な工作を行った。そのせいもあってか、採択された議長声明におけるこの問題についての表現は、同国にとり予想通り無難なものとなった。
今回のARFの意義については、私は、とくに次の2点に注目している。その第1は、これまでのARFは、東アジア地域における政治・安全保障にかかわる重要事項に関する対話・協力を主眼とするものであったが、今回のARFは、その最終議長声明においてARFの目指すビジョンを実施するための「ハノイ行動計画」を採択し、2020年に向け「具体的・実際的行動」を策定・実施するための政策的ガイダンスを盛り込んだことである。しかも、ARFはこの地域における政治・安全保障についての「プライマリー」フォーラムであり、東アジア・太平洋地域におけるこの分野の現存・将来の地域機構(existing and evolving regional architecture)の形成面で、ASEANは「中心的役割」を担うとされたことである。さらに、本年10月より日中韓米露も参加して発足するASEAN+8国防大臣会議(ADMM-PLUS)は、ARFの活動を補足(complement)するものであると、両者の関係を明確に規定した。
その第2は、南シナ海において近年中国の海軍や資源探査の活動が活発化していることに対し、以前よりこれら諸島の一部に領有権を主張し、とくに懸念を強めているベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ等が、今回のARFを地域関係主要国の注意を喚起する好個の機会ととらえ、本問題を主要議題の一つとし、地域関係諸国間の共通関心問題化(地域マルチ化)を図ろうとしたのに対し、中国がこれらは中国と関係各国との2国間問題にすぎないとして、猛烈に反発し、激しい論議が行われたことである。結局、ホスト国ベトナムがとりまとめ、1日遅れて発表された最終議長声明の中では、ASEANと中国が2002年に合意した南シナ海に関する行動規範の遵守の重要性を再確認するとともに、今後南シナ海に関する新たな地域レベルの行動規範(a Regional Code of Conduct in the South China Sea(COC))の締結をも視野において、関係国が信頼醸成に努力すべき旨申し合わせが行われ、ASEAN関係国が実をとった形となった。
このような中で、クリントン米国務長官は、ノイでの記者会見で「米国は南シナ海における領有権問題についてはどの国の味方をする訳ではないが、どんな場合にも国連海洋法条約で認められている公海航行の自由の権利が制限されることがあってはならない」と強調し、ASEAN関係諸国と利害を共有することを示唆したという。
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