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2010-07-13 00:00
自民党末期の首相たち以上に厳しい状況下に置かれた菅首相
杉浦 正章
政治評論家
参院選大敗北のアッパーカットを食らって公邸に閉じこもった首相・菅直人は、改めて自らの置かれた立場にりつ然としているに違いない。政権の置かれた立場は、明らかに八方ふさがりの兆候を示している。連立は当面不可能。部分連合は完全に野党ペースになり得る。菅は「幹事長・枝野幸男更迭論」をはねつけるのに精一杯の様子だが、枝野問題は責任論もさることながら、資質に問題があり、留任させても激動が予想される中、大政党を率いることができるか疑問だ。
選挙結果で明らかになった構図は、ねじれは3分の2の衆院再可決ができない“真性ねじれ”であることだ。これは安倍晋三、福田康夫、麻生太郎の3首相を塗炭の苦しみに落ち込ませたねじれより厳しい。3分の2の再可決が可能であっても、安倍に至ってはノイローゼ寸前、福田は自らを「可哀想」と表現、麻生は追い込まれ解散を選択せざるを得なかった。また議席数から判断すれば、みんなの党の11議席では過半数にいたらず、無理強いすれば国民新党の連立解消を招きかねないことだ。郵政改革法案をめぐって激突するからだ。公明党の19議席なら過半数に十分だが、同党は自民党との選挙協力も行っており、直ちには無理だろう。
やはり部分連合しかないが、部分連合を口先で言うことは易しいが、実現性は極めて難しい。菅は「それぞれの共通の政策を持ち合って、合意出来る形にしたい」と前向きだが、大平正芳、小渕恵三が唱えたものの成果が上がらず、終わっている。自民党はマニフェストの撤回を前提にしており、消費税論議を取り上げても、既に実施している1丁目1番地の子ども手当の財源問題でまず行き詰まる。「マニフェストの整理をしてきたら、いつでも受ける」という自民党総裁・谷垣禎一の発言は、不可能なことを見越しているようにみえる。公明党が子ども手当法案に賛成したように、ケースバイケースで反応する可能性があるが、これも世論の動向を見て上のことだろう。
大敗の責任論は、とりあえずは菅には向かっていないようだ。焦点は枝野だが、菅は代表選出の9月の党大会までは、現陣容を維持するとしている。しかし枝野の場合は、参院選の責任論もさることながら、就任早々の発言のつたなさから、資質が問われている点が問題だ。みんなの党との連携をいち早く発言して、渡辺喜美からは「馬鹿か」と言われ、亀井静香からは「一線の指揮官として理解しがたい」と素質・判断力を疑われているのだ。激動国会を前にして対応ができるかどうか疑問である。
加えて、月末の臨時国会で問題になるのが、参院の人事だ。議長・江田五月への不信感が野党に強く、通常国会末には議長不信任案も提出されている。自民、みんなの両党は更迭論だ。自民党はさらに議運委委員長などのポストも要求するものとみられる。公明党の動きが微妙だが、菅にとっては参院人事が参院選後の指導力発揮のメルクマールとなる。このように参院選挙は、民主党政権を取り巻く環境をがらりと一変させた。今後衆院選挙に向けて対立の構図が根底に維持され続けるものとみられ、菅は自民党末期の首相以上の厳しい環境に直面せざるを得ないだろう。
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