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2010-07-12 00:00
韓国哨戒艦沈没事件に関する異論表明の意味するもの
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
韓国哨戒艦沈没事件を巡って、国連安保理で日米と中国の間に駆け引きや鞘当てが行われて、その結果やや「穏当な」議長声明が採択された。北朝鮮を名指しで非難することは回避された訳だ。そんな折も折、この沈没事件が北朝鮮による魚雷攻撃だとした合同調査団(JIG)の報告書が、科学的に見て合理性に欠けるのみならず、部分的には証拠捏造の疑いさえある、とする意見が発表された。発表したのはジョンズ・ホプキンス大学(SEIS)のJae-Jung Suh準教授(政治学)とバージニア大学のSeung-Hun Lee教授(物理学)で、日本では7月9日外国特派員クラブで記者会見の形で行われた。
その要点を筆者なりに整理してみると、(1)事件の発生した時刻、場所といった基本的な情報についてさえ、公式報告相互間に食い違いがある、(2)魚雷攻撃によるものならば当然発生する筈の衝撃波による被害状況が、船体にも、乗組員にも見られない。むしろ船体形状からは、船が大きな固体に接触したことを示唆しているように見える、(3)回収された魚雷残存部分と船体に残ったいたアルミ化合物が一致したことを魚雷攻撃の根拠とされているが、検出されたアルミ化合物は、通例アルミ製品が海水に長く浸かっていた際に発生するものであり、爆発によるのもとは異なる。また爆発の証拠として提出されたその他X線データなどには、整合性がないのみならず、捏造の可能性さえある、(4)魚雷が北朝鮮製である証拠として提出された「一番」の文字は、通例魚雷爆発に際しては350度ないし1000度の高熱が発生し、インクやペイントなどが消失を免れて残存しているとは考えにくい、というものであった。
下手な推理小説より面白い内容だが、この発表自体が北朝鮮の工作ではないか、という疑念がまず発生する。外国特派員の一人が直接質問したが、さわやかに否定された。もちろん本物の工作だったら、あっさり認めたりする訳もないのだが。
とまれ、筆者にはこの発表の信憑性を判断する能力はない。が、こうした発表が自由にできるということ自体が民主主義政治の長所の一つなのだから、JIGが正面からこの問いかけに答えることを期待したい。国際世論、あるいは一連の安保理の動きは、JIG報告書の内容に依存して踊っていたのであってみれば、なおさらのことだ。あるいは日本が安保理の席上などで、この発表についてリマークすることも考えられてよいのではないか。
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