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2010-07-02 00:00
注視される「ASEAN+8国防大臣会議」の発足
石垣 泰司
アジアアフリカ法律諮問委員会委員
東アジア地域における平和と安全保障にかかわる問題についての話し合いの場としては、これまでASEAN地域フォーラム(ARF)があり、1994年第1回閣僚会議を開催して以来、今日に至っている。参加国は、ASEAN+3のほか、インド、パキスタン、米、露、EU、カナダ、豪州、北朝鮮、東チモール、モンゴルを含む26カ国およびEUである。東アジア地域の殆どすべての関係諸国を網羅する対話の場として有用な役割を果たしてきている。
一方、ASEAN自身の防衛分野の域内地域協力は、他の分野に比しかなり遅れてスタートし、2006年になってから「ASEAN国防大臣会議(ADMM)」を立ち上げたが、その後ほぼ毎年これを開催するようになり、2015年を目途に実現を目指ざす3共同体の1つとしての「政治・安全保障共同体」設立に向けて防衛・安全保障分野の地域協力の中核として、これを位置づけるに至った。さらに、関係国との連携を鋭意検討の結果、2010年4月のASEAN首脳会議において、ASEAN+3(日中韓)+3(インド、豪州、NZ)に、米国とロシアを加えた「ASEAN+8国防大臣会議(“ADMM-Plus”)」を設立することを決定した。
これを受けて、5月ハノイで開催された第4回ASEAN国防大臣会議は、「ASEAN+8国防大臣会議」の具体的な進め方を審議し、「ADMM-Plusの構成および運営のモダリティ」と「同手続き」の2文書を採択し、この「ASEANプラス8国防大臣会議」の第1回目の会議は、本年10月に開催されることが確定された。6月シンガポールで開催された東アジア太平洋地域の安全保障問題に関するシャングリラ対話会議において、シンガポ-ルのテオ・チーヒエン副首相兼国防大臣は、「ASEANプラス8国防大臣会議」は、ASEAN諸国がADMM設立後4年間にわたる論議の末、「米露両国を東アジア地域の安全保障に関する重要国(two key players)として協議に参加するよう招請する必要がある」との結論に達したものであり、現在地域が直面している安全保障上の問題に対処していく上で、多数国間協力は有効であると考えているとして、その設立の意義を強調した。
この新たな東アジア地域の安全保障に関する機構設立の意義は、少なくないと思われる。ARFは、参加国数が多すぎ、意見交換や対話以上の役割をなかなか期待しがたいのが実情であるのに対し、「ASEANプラス8国防大臣会議」は、ASEANを中心(ASEAN Centrality)としながらも、参加国を東アジア・サミット(EAS)メンバーのASEAN+6および米露2カ国に絞り込んでいることは、東アジアの安全保障に重大なかかわりを持つ域外国は、これら8カ国と考えるASEAN側の判断を示しており、その設置を決めた4月のASEAN首脳会議が来る10月のEASに米露両国に対し参加を呼びかけたことと平仄が合っている。
この新機構設置に対するASEAN関係域外国の反応はまだ必ずしも明らかでなく、日程等を含め調整中とみられる。本年の第1回会議以後定期的開催が予定されているが、当面3年に一度とされ、参加域外国の追加については、ASEAN全加盟国の全会一致により招請する場合にのみ限定されている。“ADMM-Plus”に関するASEAN側コンセプト・ペーパーによれば、“ADMM-Plus”は、ADMMと一体(an integral part)をなし、「ASEAN政治・安全保障共同体」に向けての「ADMM」の重要な域外諸国との地域協力活動と位置づけてられており、将来の東アジア共同体構想のあり方とも密接な関連を有することとなるとみられるので、本年10月のASEAN+3首脳会議、東アジア・サミットとともに、今後の動きに十分注視していく必要があろう。
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