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2010-06-25 00:00
民主党は、小沢と菅の“双頭選挙”?
杉浦 正章
政治評論家
消費税で与野党が対立するのは当たり前だが、永田町的視点で見れば、問題なのは民主党内でどういう対立の構図が生じているかだ。分析すると、やはり公示日から首相・菅直人と小沢一郎の事実上の双頭選挙と言ってもよい状況でスタートしている。焦点の消費税と当選ラインで全く主張が異なるのだ。選挙期間中両者相いれないままの対立が続き、選挙結果がその後の政局を左右するという図式だ。「一兵卒として頑張りたい。田舎の山や寂れた港町で静かに応援したい」と、しおらしいことを言っていたはずの小沢の物言いは、それどころではない。かなりあからさまだ。勝敗ラインについては「政党である以上は、常に過半数を目標にすることが筋道だ」と60議席に設定し、菅の54議席を露骨に否定した。消費税に関しても「3年前の参院選も、昨年の衆院選も、すぐに消費税を増税しないというのが、我々の主張だった。それは変わっていない」と頭から否定している。
これに対して、菅も負けてはいない。消費税では、大阪での街頭で「菅さん、消費税を上げる、なんてことを言ったら応援しないよ、という方もいます」と名指しは避けたものの小沢批判。勝敗ラインを割った場合の責任についても、NHKで「首相が毎年替わって日本の政治・外交を弱くした。すぐにあきらめてしまうというようなことは、私は全く考えていない」と、目標とする54議席を割り込んでも辞任しないと突っ放した。小沢と菅の主張は、真っ向から対立していることになる。もちろん60議席に達すれば、状況は菅の天下となる。小沢の出る幕はあるまい。9月の代表選での再選も事実上達成されたも同然だ。長期政権の芽も出てくるだろう。それでは、小沢の戦略はどこにあるのか。小沢の物言いから見ると、与党が過半数割れをした場合を一つの勝負どころとしているのだろう。
割れた場合には、ひょっとすると代表選で総務相・原口一博や衆院議員・海江田万里を担いで、菅の対抗馬にすることも考えているのではないか、と言う気もする。問題は割れ方だ。与党56議席から数人の不足にとどまれば、穴埋めは、たちあがれ日本や新党改革を抱き込むか、自民党を削り取るかで、しのぐことができる。これは菅と幹事長・枝野幸男ラインでもできないことではないが、たちあがれ日本の与謝野馨を説得するには、小沢の力を必要とするかも知れない。 問題は大きく割れて現有21議席の公明党の抱き込みが必要になった場合だ。これは、既に市川雄一との“一・一ライン”を復活させている小沢の力を借りざるを得まい。創価学会側とのパイプも、小沢が握っている。小沢は出番があると思っているから強気なのであろう。政策ごとのパーシャル連合でも小沢の力は必要となるだろう。
小沢にとっての最大の弱点は、検察審査会の動向だ。同審査会が党大会前に起訴相当の議決を行うかどうかだ。1回目に検察が議決に応じず、不起訴にしたことや、審査会メンバーの半数が変わったことなどから、必ずしも2度目も起訴相当または不起訴不当が議決されるとは限らないが、起訴相当・不起訴不当となれば、小沢は強制起訴となる。起訴となれば党大会は8年ぶりに「党員・サポーター投票」が行われるだけに、「政治とカネ」が直撃して、小沢サイドは極めて不利となる。このようにどろどろした“暗闘”を抱えた選挙戦が続く。小沢と菅のボルテージが上がれば、あがるほど双頭選挙の色彩が濃くなる。
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