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2010-06-22 00:00
(連載)鳩山首相が辞めた本当の理由(2)
花岡 信昭
拓殖大学大学院教授
およそ、外交・安全保障というのは国家の基幹政策である。国家・国民に責任を持つ首相は、そのための最高の政治決断をしなければいけない。だから、首相は自衛隊の最高指揮官なのだ。今の世の中では、だれも「戦争などない」と思っているが、国家というのは、必要に迫られて戦争に打って出ることがまったくないとはいえない。これは、いかに憲法9条という「平和憲法」を持っている日本であっても、同様だ。というよりも、現憲法の解釈でも「専守防衛」という名の戦争行為は認めているのである。だから、内閣総理大臣の最高の意思決定は「開戦の決断」にある。その基本的な、あるいは当然の心構えがない政治家は、首相になってはいけない。
死刑執行書にサインしない人が、法相になってはいけないのと同様だ。自分の代でサインしなかったら、次の法相が大量にサインしなければならなくなる。鳩山氏には国家リーダーとしての最高意思とでもいうべき心備えが完全に欠落していた。普天間移設を通常の政治課題と同じ次元でとらえてしまった。外交・安保政策は現実のものだ。将来の理想像などを頭に描いて行動されては、困ることになる。徳之島の3人の町長が声高に「基地反対」を叫び、あろうことか、首相官邸にまで乗り込んできて、首相に直談判するという、あってはならないことまで認めてしまった。
この3人の町長には、「分際」という言葉が理解できないらしい。国家の安全保障に関する最高の政治判断が必要とされるテーマなのであって、「町長ごときが」とあえていうが、生意気な口をきいていい話ではない。鳩山氏が首相として致命的な失態を演じたのは、このシーンにあった。沖縄の米軍は日本の安全保障のためにだけ存在するのではない。東アジアの安定と平和を担保する最も重要な部隊である。それを、首相と地元町長との話し合いで決めるようなことがあっては、断じてならない。これは統治システムを根底から覆すことになる。3人の町長の基本的資質を問う声がまったく聞かれないのは、どういうことか。
首相の立場にあったら、徳之島移設がどうしても必要だという判断にいたったのであれば、「町長ごときが」とまたいうが、いかに反対しようとも断固貫徹する、ぐらいの構えがなくてどうする。そうでなければ、国民は国家の安全保障をこの首相に託せないではないか。もっとも、普天間移設は4年前に日米合意した名護市辺野古のキャンプシュワブ沿岸部以外にあり得ないというのが、当初から分かっていた話だ。鳩山氏も、外務省や防衛省の担当者からじっくりと話を聞いて、「お勉強」していれば、こういうぶざまな展開にはならなかった。かくして、民主党政治が打ち出した「政治主導」なるものを、いかにも低次元のものにおとしめてしまったのである。(おわり)
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