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2010-06-07 00:00
「小鳩ダブル辞任」で転換効果は本物か?
花岡 信昭
拓殖大学大学院教授
鳩山首相と小沢幹事長のダブル辞任で、民主党は息を吹き返したようだ。 6月6日付の世論調査結果によれば、「菅新首相に期待する」という答えは、朝日59%、毎日63%だった。20%割れという鳩山内閣の支持率から大きく反転した。政党支持率も急変した。民主党支持は朝日32%、毎日28%。自民支持は朝日も毎日も14%だ。ほぼ倍の差がついた。朝日の参院選比例代表の投票先を聞く回答では、民主33%、自民14%だ。まさに、政治の世界の転換効果ということになる。自民党はほぞをかむ思いだろうが、政局の主導権を民主党に握られていて、打つ手がない。
菅政権は8日に発足するが、小沢氏が「沈黙」していてくれるため、人事もスムーズに進んでいるようだ。人事というのは、時間をおくと、あちこちから横やりが入って、ひっくり返ったりするものだが、いまのところ、そういうケースは出ていない。菅新首相のやりたいように進行している。仙谷官房長官、枝野幹事長が新体制のポイントだが、仙谷氏は人情味もあり、この世界の裏表を熟知している達人といっていい。胃がんを克服して、人柄がもうひとつ丸くなったという評価もある。枝野氏は、切れ味は鋭いが、妥協を許さぬところがあって、党内に冷ややかな見方もある。そこをどう乗り切っていくか。
閣僚、党役員の人事もどんどん進んでいて、菅氏はたくみに「小沢系」幹部を取りこんだりもしている。まあ、このペースで新体制が華々しくスタートするのだろう。だが、「小鳩」ダブル辞任によって、「政治とカネ」の問題がクリアーされ、民主党が生まれ変わったかのようなイメージを与えているのは、錯覚といっていい側面がある。鳩山政権は、いったい何が問われたのか。筆者の感覚では、「政治とカネ」もさることながら、普天間問題で見せつけた体質そのものが、政権崩壊を導いたように思える。
結論的にいってしまえば、普天間の移設先は名護市辺野古以外にあり得ない。その線で4年前に日米合意にこぎつけていた。これをひっくり返して「県外・国外」移設の可能性があったとは、とてもではないが思えない。一時、その錯覚の世界に迷い込んでしまった鳩山首相とは、いったい何だったのか。そこのところの総括がきちんとされない限り、新政権に同じ遺伝子が伝えられる恐れを無視できない。もっと、ありていにいってしまえば、政権運営で決定的に重要なのは、「政治とカネ」よりも、外交・安保・危機管理という国家の基軸政策をめぐる政治判断だ。「クリーン民主党」という新しいキャッチフレーズに惑わされてはなるまい。
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