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2010-05-21 00:00
「消費税」軸に反小沢グループ結成へ
杉浦 正章
政治評論家
遅まきながら民主党に幹事長・小沢一郎の路線と対立する反小沢グループが5月26日にスタートする方向となった。小沢一郎に批判的な7奉行の一人衆院財務金融委員長・玄葉光一郎が中心となって、党内財政規律派を糾合し、消費増税に反対の小沢と対峙してゆく構えだ。反小沢の軸を消費税問題に置いたのはうまいやり方だが、問題は議員の集まりがどのくらいになるかだ。玄葉周辺は「100人集める」と豪語しているが、恐らく小沢サイドの徹底的な締め付けが裏で始まっているに違いない。
日経、産経などが報じるところによると玄葉は20日、中堅・若手議員約10人を集め、「国家財政を考える会」を26日に結成させることを決めた。財政規律派を糾合して、参院選後の9月に予定される党代表選挙に備えよう、と言うのが狙いのようだ。民主党内は5月上旬から消費税増税を主張する財政規律派と、選挙対策から導入に反対する小沢との対立の様相が深まってきていた。水面下では、まず6日夜に財務相・菅直人が玄葉らを集め、「このままでは来年度予算が出来ない、国債も歳出も今年度以下に押さえる必要がある」と訴えた。菅は、10日夜にも玄葉と国家戦略相・仙谷由人をまじえた会合で、「党内でもぶち上げなくては駄目だ」と“小沢対策”の必要を強調。16には関係閣僚との間で財政健全化で一致している。
この動きにようやく気づいた小沢は17日、「第一に取り組むのは、ムダの削減だ」と、消費税率引き上げに否定的な見解を表明。当初は財政規律論に傾いていた番頭の筆頭副幹事長・高嶋良充も「消費税を議論する前に、やることがある」と小沢に歩調を合わせた。菅が職務上財政規律を訴えているのか、あえて反小沢の動きに導いているのかはまだ不明だ。背景に「来年度予算が組めない」という危機感があることは確かだ。菅にしてみれば、小沢が鳩山を切る場合、“菅擁立”へ動くかも知れないとの思惑があるに違いないからだ。しかし菅の動きは、結果的に「反小沢」を勢いづけていることになる。
今後の展開は、まず26日に何人集まるかが焦点だ。先に参院執行部に「参院選対策の強化」と称する事実上の「小沢辞任」を要求した参院議員・蓮舫らも参加するようだ。玄葉が、小沢側から重圧があることを覚悟のうえで、一部メディアに26日結成をリークしたのは、党内に財政への危機感が高まっていることを背景にすれば、数は集まると踏んでいるのだろう。26日と言えば、普天間問題の期限切れを間近にしており、微妙な時期だが、狙いはどうも直近の問題ではないようだ。9月の代表選挙への思惑がある。玄葉は昨年の代表戦で岡田克也を担いだが、9月に岡田を担ぐのか、菅を担ぐのかは、まだ不明だ。もちろん当面は、消費税率引き上げを打ち出す党内機運を高めるための「勉強会」が狙いであり、誰を担ぐかは、走りながら考えようということだろう。いずれにしても、消費税というからめ手からの攻撃に小沢陣営も緊張感を高めざるを得まい。
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