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2010-05-07 00:00
ハノイでのASEAN首脳会議の成果に注目する
石垣 泰司
アジアアフリカ法律諮問委員会委員
鳩山外交の重要政策の一つとされるわが国の東アジア共同体への取り組みについては、政府内部でその具体策を検討するよう指示されたことが報じられたのみで、その後格別の新たな動きはみられない。その一方、4月8~9日ハノイで開催された第16回ASEAN首脳会議については、本邦紙ではごく簡単にしか報じられなかったが、いくつかの重要な進展を含む注目すべき点がみられた。まず、第1に、昨年のタイ議長国の下で開催されたASEAN首脳会議や関連サミットは、同国の政情混乱の影響で再三期日や開催場所の変更を余儀なくされ、かなりの混乱と変則的運営を伴うものであったが、本年1月よりASEANの議長国となったベトナムは、昨年末より周到な準備を経て、ASEAN事務局と協力しつつ、今回「ビジョンから行動へ」をテーマとしたASEAN首脳会議を、整然と成功裡に開催・運営し、ASEANの主要国の1つとしての力量を示した。
第2に、今次サミットの議長声明によれば、ASEANは、地域の持続的な経済回復と開発および「グリーン成長」のため一層の努力を傾注することになり、3月ハノイで第1回会合を行った「ASEANの連結性(ASEAN Connectivity)に関するハイレベル・タスクフォース」に対しては、東アジア地域におけるハブとしてのASEANの地位強化と統合推進のためのインフラ・情報技術等の整備の検討を内容とするマスター・プランの作成を指示した。気候変動問題についてもASEAN諸国は、協調して効果的に取り組む決意を表明し、独自の声明文を発表した。
第3に、ASEAN憲章の規定の実施として、閣僚レベルのASEAN調整理事会(ACC)、3共同体各理事会、ASEAN常駐代表委員会、ASEAN人権問題政府間委員会(AICHR)などの新機構の整備を確認した。また、「紛争解決メカニズムに関するASEAN憲章議定書」および「ASEANの特権免除協定」の署名が行われた。
第4に、2015年までに実現することを目指しているASEANの政治・安全保障(APSC)、経済(AEC)、社会・文化(ASCC)の3共同体については、ロードマップに従い順調に作業が進捗していることに満足の意が表明された。
第5に、域外諸国との関係については、ASEAN+1、ASEAN+3および東アジ・アサミットのいずれのプロレスも順調に進展しており、これらは、ARFとともに、東アジアにおける共同体構築に向けての協力と対話を促進する上で相互補完的役割を果たしているとしている。また、米露両国に対しては、東アジア・サミットに適当な形で関与するように呼びかけた(encoraged involvement with the EAS through appropriate modalities)。10月29~31日には、上記進展を踏まえて、ハノイで第17回ASEAN首脳会議および域外諸国との一連のサミットが開催されるが、ASEAN3共同体の構築に向けてのASEAN諸国の動きと共に、米露両国が上記呼びかけに対し如何なる対応を示すかが注目される。
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