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2010-04-27 00:00
毛嫌いされ、かつ袋だたきにされている鳩山
杉浦正章
政治評論家
この大歩危小歩危と続く政局の難所で、首相・鳩山由紀夫が最後の頼みとすがる幹事長・小沢一郎までが、鳩山を見放しつつある。小沢が4月26日普天間の問題を「一切関知していない」と突き放したのだ。それはそうだろう。自分の身ですら明日をも知れぬ中で、このままいけば“抱き合い心中”になりかねない。鳩山自身は、故障を乗り越えて敢闘している大関・魁皇に「少しでも長く続けられるようにしたい」と述べた。突然の心境吐露にびっくりしたのは、魁皇だ。後で「何とも言えなかったので、黙って聞いていました」と述べたというが、鳩山の念頭に常に「進退」が浮かんでは、消えている証拠だ。鳩山は、最後に浮上している辺野古沖の桟橋方式に期待をつなげているようだが、連立の社民党も地元も猛反対には変わらない。
普天間での小沢の鳩山離れの兆候は、筆者が既に20日に「あえて火中の栗を拾わず、自らの“温存”をはかっているとしか思えない」と指摘した通りとなってきた。26日は記者会見で、かなりはっきりと鳩山離れを鮮明にさせた。普天間での鳩山の進退を聞かれた小沢は「普天間の問題は、私は一切関与していないし、説明も、相談も受けていない。私の役目柄でもない」と関与を一切否定した。さらに「どのような結果になろうとも、あるいはどのような状況下であろうとも、国会運営をスムーズにする、そして参院選で勝利するという、自分の与えられた役割を全力でこなす」と、幹事長の役割に専念することを宣言したのだ。小沢の言う「どのような結果」が何を指すのか不気味だが、当然5月政局を含みとしているのだろう。
「担ぐ御輿は、軽くてパーがいい」が持論の小沢は、鳩山の「パー度」が軽症であれば、担ぎ続けるだろうが、昨今のように「東大出身のはずなんだけど、相当に頭が悪い」(与謝野馨)と言われ、「あるいは愚かだったかもしれません」と自分で認めるような“重症”になってくると、話は別だろう。普天間移設が桟橋方式を軸にどう展開するかは、まだ未知数だから、断定は出来ないが、ここは距離を保っておかないと、「鳩山退陣=小沢辞任」になりかねないのだ。鳩山が作った普天間政局などで、一蓮托生になってはたまらない、という思いだろう。検察審議会の不起訴妥当の結論は、一見鳩山有利にみえるが、新聞は全国紙がすべて社説で鳩山批判を展開している。読売が「これで逃げ切れたと勘違いしてはいけない」とくぎを刺しているとおり、まさに鳩山は「毛嫌いされ、かつ袋だたきにされている」構図なのである。
党内には、ポスト鳩山もささやかれ始めているが、小沢にしてみれば、鳩山が辞任したいと言えばあっさりと認め、150人と言われる小沢軍団をフルに活用した代表選挙を展開するつもりなのだろう。懐には財務相・菅直人がある。非小沢系の国家戦略相・仙谷由人や外相・岡田克也は論外であろう。“生方の乱”や“連合静岡県連の乱”が象徴するように、一応は治まっているように見える反小沢のマグマは、いつ噴出してもおかしくない。検察審議会の動向も注目され、「政治とカネ」の問題は小沢から離れることはない。もっとも野党側にしてみれば、参院選前に鳩山と小沢に同時に辞められて、民主党政権が刷新・再出発されても困る側面がある。鳩山と小沢が消えれば、一挙に支持率が回復する可能性が大きいからだ。民主党政権に悪役が残っていてくれた方が選挙は戦いやすいのだ。
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