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2010-04-22 00:00
「舛添新党」は、「落ち武者新党」
杉浦 正章
政治評論家
自民党にいたたまれなくなって、除名される前に離党する舛添要一と、参院選挙がおぼつかない「その他議員」との連携の構図だ。まあ「舛添新党」は、選挙目当てだけが一致点の「落ち武者新党」と言ってよい。ただひとえに舛添の知名度の高さが頼りで、そこには新党結成の理念もなく、火事場で古材を寄せ集めて、バラックを建てるような、急場の対応のみが目立つ。
参加メンバーを見ると、まず落ち武者の筆頭が舛添。執行部批判を繰り返し、汗もかかずに世論調査の人気だけを頼りに総裁を狙って、党内で孤立化。オオカミ中年の批判を浴びて、最近では除名論が党内で高まった。プライドばかりが高い舛添にとって見れば、「除名」や「離党勧告」の処分を受けるわけにはいくまい。その前にかっこうよく「新党結成」に踏み切ろうというわけだ。一方自民党から参加が予定される元外務副大臣・矢野哲朗は、参院選挙で同党の公認が得られず、引退も考慮していたと言われる。民主、自民両党をそれぞれ離党して改革クラブで不遇をかこっていた渡辺秀央、荒井広幸、山内俊夫らも参院選改選組であり、選挙は厳しい情勢だ。そこに世論調査で次期首相候補ナンバーワンの舛添が声を掛ければ、“利用価値”があるし、救いの神でもあるというわけだ。
新党は、理念もへったくれもない。そもそも荒井は郵政民営化反対の急先鋒であり、推進派の舛添とは正反対の路線だ。この新党は「はじめに参院選挙ありき」なのである。加えて舛添にも利点がある。日経新聞だけが報じているが、新党といっても、舛添が自民党を離党して、改革クに入党、政党名を変更する方向で調整しているのだそうだ。選挙をにらんで、新党結成にかかる費用を抑える狙いがあるのだという。政党助成金もそのまま受け取れるのだ。舛添に近い議員は「舛添さんによる改革クラブの乗っ取りだ」と述べており、改革クラブの他のメンバーとの間で一悶着ありそうな空気だという。舛添が「私が総裁だから舛添新党」と自ら称したのにはあきれたが、「オレが、オレが」の舛添の面目躍如でもある。他のメンバーと仲良くやれるタイプか疑問が残る。
「たちあがれ日本」といい、「落ち武者新党」といい、新党といっても共通項は、「反民主党」「反小沢一郎」だけで結成される選挙戦術的小政党の側面が強い。まだ「日本」には真面目さがあるが、「舛添新党」の方は浮き草のような世論調査での舛添人気だけが頼りだ。加藤紘一が「自民党への打撃は若干あるが、時間がたてば『ああいう人もいたね』で終わる」と形容している通りだろう。新党の総裁となって、厚労相という晴れ舞台で獲得した支持率が維持できるかどうかも、全く疑わしい。昨年の総選挙で民主党のパフォーマンス政治にひっかかった有権者は、もうタレント系議員のテレビうけを狙う政治にもあきあきして、反省すべき時だ。舛添すらつなぎ止められなかった自民党の体たらくはどうしようもないが、同党もタレント政治に頼っているときではあるまい。愚直に野党として民主党政権による外交・内政上の「愚挙」を正し続けるときだ。
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