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2010-04-21 00:00
韓国の防衛政策に対する米国の期待
岡崎研究所
シンクタンク
3月26日付けの Forbes.com で、レーガンの特別補佐官を務めた朝鮮問題専門家 Doug Bandow が、「韓国軍がアフガニスタン、イラクなどで国際的に活躍しているのは結構なことだが、他面、米国の世界的な軍事負担が増えている中で、最近の黄海の事件で明らかなように、朝鮮半島はまだ不安的な地域なのだから、韓国は自国の防衛にもっと力を入れてほしい」と注文をつけています。
すなわち、「李大統領は、Global Korea を呼号し、韓国の国防白書も世界に貢献する能力増強を謳っているが、韓国には今も 27,000 人の米兵が駐留し、沖縄には第三海兵師団が後詰として控えている。しかし、韓国は今や世界第13位の経済大国であり、それに対して、北朝鮮には中国やロシアの軍事的後ろ盾はない。韓国は、もはや米国からの援助から脱して、自らを守るべきだ。イラクやアフガニスタンなど大きな負担を担っている米国は、大国からの脅威に備えるべきであり、地方的な問題はその地域の同盟国に委ねるべきだ。つまり、韓国は世界を救う前に、自らの国民を守るべきだ」と言っています。2012年の戦時統帥権移転を前に、北朝鮮の軍事的脅威に対しては、もう韓国に主たる防衛責任を負わせたら良いではないか、という議論が本格的に出て来たということです。
ところが、韓国防衛の実態は、2012年の戦時統帥権移譲までに、自前の防衛態勢が出来るかどうか危ぶまれ、2012年の合意の延期論も出て来ている状況です。従って、Bandow の論は、軍事情勢の実態に即していないとも言えますが、他方、「ここまで経済的に成長した韓国は、もはや中ロの軍事的後ろ盾を失った北朝鮮に対する防衛ぐらいは、自前でやるべきだ」というのは、俗耳に訴えるものがあります。翻って、駐韓米軍の話はいやでも日米同盟との対比につながります。米側の論者に言わせれば、日本が防衛力を強化し、米軍の海兵隊を代替出来るようなら、米海兵隊を常駐させる必要はなくなります。現に「有事駐留で良い」と主張する識者もいます。
今後、普天間基地問題が解決し、海兵隊が一部撤収するにつれて、少なくとも米側の一部に、防衛費増額による米軍事費の肩代わり、集団的自衛権の行使による米軍の軍事力の肩代わりへの期待が出て来るのは、理論的必然でしょう。それに対して日本側が、基地提供だけを反対給付として自己弁護しようとすれば、総合的な経費分担の考え方の中で、思いやり予算の現状維持では不十分だとする議論は益々強くなると予想しなければならないでしょう。つまり、日本の防衛力増強も、集団的自衛権の行使も、更には、思いやり予算の問題も、米軍の一部グアム引き揚げに付随して出て来る可能性があることは、十分覚悟する必要があります。
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