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2010-04-16 00:00
安全保障問題から逃げる日本は、二流国家に転落する
岡崎研究所
シンクタンク
米ヘリテージ財団の3月24日付けウェブサイトで、同財団のブルース・クリングナーが、日本に苦言を呈しています。すなわち「日本の国際的影響力は、経済の低迷、政府の優柔不断、そして制約の強い安全保障政策のために縮小しつつあり、事態の変化を望める理由もほとんどない。こうした憂慮すべき傾向は、実は民主党政権が誕生するかなり前からあり、このままでは日本は二流の中堅国家になってしまう恐れがある。勿論、日本の経済的貢献は目覚ましいが、日本はその経済力を政治的影響力や指導的役割に転換できないでいる。また、日本の一部の識者は、日本のソフト・パワーを無形の影響力として持ち上げるが、ソフト・パワーも現実の影響力に転換できなければ、安全保障の責任を回避する言い訳にしかならない」と厳しく断じています。
日本が国際政治・安全保障の場で役割を果たさず、果たそうともしないことへの、日本学者の苛立ちが良く表われている論説です。戦後の日本は、憲法9条とそれに基づく諸政策(安全保障への真剣な取り組みの欠如、安全保障面での国際貢献への消極的な姿勢、危険回避重視など)と日米安保条約への過度の依存の中で、安全保障問題に真剣に取り組んできませんでした。
経済的成功と国際情勢がそうしたあり方を可能にしたのですが、中国の台頭などで周辺の国際情勢は変わり、日本も少子高齢化で経済活力が衰えてきています。そうした中で、日本は安全保障問題や国際政治問題に正面から取り組むべきときに来ています。日本の好感度の高さやソフト・パワーを誇り、環境など「非伝統的安全保障」への貢献を軍事的貢献の代わりにしようとする姿勢は、戦後の諸問題に正面から向き合うのを避けようとする思考につながっています。
日本を取り巻く国際環境の変化を直視して、大胆なパラダイム・チェンジも勇気を持って考えていくべきでしょう。今のままでは、日本は二流の中程度の国になるというクリングナーの警告は深刻です。また、米国にとっての同盟国としての価値も低下し、アジアにおける指導的地位は中国に奪われることになってしまうでしょう。年間の死刑執行数でイランと世界1、2位を争う、共産党独裁国家にアジアで主導権をとられて、日本国民が幸福であるとは思えません。
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